昨今、住宅業界で「エコグラーニ」という新しい屋根材が普及し始めているのをご存じでしょうか。エコグラーニは、デザイン性や機能性などが高く評価されており、他の屋根材と一線を画しているといえます。
今回は、そんな「エコグラーニ」の特徴やメリット、デメリットを紹介します。また、気になる工事費用や事例についても解説していきます。
「エコグラーニの特徴を知りたい」「屋根のリフォームでどの屋根材を採用しようか迷っている」という方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
エコグラーニとは?
エコグラーニとは、株式会社ディートレーディングが販売元の屋根材です。エコグラーニの材質は「ガルバリウム鋼板」と同じ組成の「ジンカリウム鋼板」を基材としています。よって、エコグラーニはガルバリウム鋼板の性能とほぼ同じであるといえるでしょう。
とはいえ、エコグラーニならではのメリットやデメリットもあるので、次章以降で詳しく解説していきます。
エコグラーニのおさえておきたい6つのメリット
エコグラーニは、住宅業界で普及し始めている比較的新しい屋根材です。そんなエコグラーニを採用する住宅が増え始めている理由は、デザイン性や機能性が高いほか、手厚い保証を受けられるという点にあります。
では、デザイン性や機能性の高さ、手厚い保証とは、具体的にどういった特徴があるのでしょうか。エコグラーニのメリットを探りながら、詳しいエコグラーニの特徴について見ていきましょう。
エコグラーニのメリットは、以下の6つです。
- 美しい外観
- 耐久性に優れている
- 他の屋根材と比較して軽量
- 雨音が響きづらい
- 雪が落ちにくい
- 保証が30年
ひとつずつ順に見ていきましょう。
美しい外観
エコグラーニは美しい直線的なデザインが魅力で、そのシンプルなデザイン性がエコグラーニにおける多くの人気を集めています。また、表面にはセラミックコートを施した「自然石粒」がコーティングされているので、色彩を長期的に維持し、色褪せを防ぐことが可能です。したがって、長期間塗り替える必要がないのもポイントです。
一方、4種類の豊富なカラーバリエーションも見逃せません。カラーには和洋風どちらにもマッチするものや、ナチュラルな印象を与えるものなど、あらゆる種類が展開されているので、建物の雰囲気に合わせられるのも魅力です。
耐久性に優れている
前述したとおり、エコグラーニはガルバリウム鋼板と同じ組成である「ジンカリウム鋼板」を基材としています。ジンカリウム鋼板はアルミニウムを約55%と多く含んでいるため、高い耐久性を発揮しているといえます。
実際に、亜鉛鉄板を基材とした「トタン屋根」と比べて、エコグラーニの耐久性は約3〜6倍ほどあるとされているので、高い耐久性や耐食性を実証しているとわかるでしょう。
他の屋根材と比較して軽量
エコグラーニは他の屋根材と比較して非常に軽量であるため、建物における耐震性の向上を期待できます。
以下の表は、エコグラーニと他の屋根材の重量を比較したものです。
エコグラーニ |
約5.8kg/㎡ |
スレート屋根 |
約18.0kg/㎡ |
瓦屋根・セメント瓦屋根 |
約50.0kg/㎡ |
現在、スレート屋根や瓦屋根を使用していて、屋根のリフォームを検討している場合は、エコグラーニへの葺き替えがおすすめです。エコグラーニを採用すれば、建物への負担が軽減され、耐震性の向上につながるでしょう。
また、軽量設計であるエコグラーニは、既存の屋根材の上に新しい屋根材を被せる「カバー工法」にも向いています。カバー工法は既存の屋根材を撤去しない分、リフォーム費用を抑えられるのがポイント。瓦屋根にエコグラーニを被せるのは、瓦の重量があるのでおすすめできませんが、金属屋根やスレート屋根のカバー工法にはうってつけです。
雨音が響きづらい
エコグラーニの表面には、コーティングされた自然石粒によって凹凸があります。凹凸があることで、屋根材に当たる雨粒を細かく拡散させる効果があります。よって「雨音が気になる‥‥」という悩みが軽減されるでしょう。
雪が落ちにくい
エコグラーニの表面に施された自然石粒は蓄熱の特性を持っており、雪の氷結を可能な限り防ぐことが可能です。また、自然石粒の強い摩擦抵抗により、雪がドサッと落ちてくるリスクを軽減できます。よって、雪止めがなくても積雪への機能性が備わっているのが強みです。
大雪時の危険な雪下ろし作業や降雪処理の手間を省けるのは、寒冷地域に大きく貢献しているといえるでしょう。
保証が30年
エコグラーニは、機能性の高さにより「30年保証」が付けられています。比較的新しい屋根材ではあるものの、他の屋根材と比較して手厚い保証を受けられるので安心して選べるでしょう。
エコグラーニの注意したい2つのデメリット
ここまで、エコグラーニにおける機能性やデザイン性の高さなど、複数のメリットを紹介しましたが、デメリットにも気をつけなければなりません。したがって、エコグラーニの採用を検討している方は、メリットだけでなくデメリットにも注意を向けましょう。
エコグラーニのデメリットは、次の2つがあげられます。
順に解説していきます。
断熱材が使われていない
一般的な金属屋根には、屋根材の裏側に断熱材が充填されています。しかし、エコグラーニには断熱材が使用されていません。そのため、場合によっては断熱効果を感じづらいことがあるので要注意です。
とはいえ、エコグラーニの表面に施された石粒の凹凸と、屋根材と下地間に設けられた空気層により熱伝導率が低いという見方もあります。もちろん、熱伝導率が低ければ断熱効果や遮音効果は期待できるので、断熱材が未使用という点に関してそこまで危惧する必要はないでしょう。
輸入商材である
エコグラーニはアメリカや韓国、ニュージーランドなど、海外から輸入している商材です。輸入品であることは、輸入するタイミングによって在庫がなくなったり、価格が高騰したりする可能性もあると意味します。
よって、エコグラーニを使用した施工は、エコグラーニの在庫状況や価格変動について、依頼する業者に情報を提供してもらうことが重要です。
先ほど紹介したように、エコグラーニは他の屋根材と比べて軽量であるため、既存の屋根材の上に新しい屋根材を被せる「カバー工法」に向いています。そこで今回は、スレート屋根にエコグラーニを被せるカバー工法を事例としてあげて、修理費用の目安も合わせて紹介していきます。
スレート屋根にエコグラーニを被せるカバー工法は、以下の流れで行います。
- 足場を組み立てる
- 既存屋根に防水シートを張る
- エコグラーニ設置する
- 足場を解体する・完工
ひとつずつ詳しく解説していきます。
足場を組み立てる
はじめに、足場の設置工事を行います。足場の設置にかかる期間は、半日〜1日ほどかかるのが一般的です。足場設置の金額は屋根の面積や立地によって異なりますが、だいたい「750円〜1,000円/㎡」を目安にしましょう。
既存屋根に防水シートを張る
既存のスレート屋根の上に「ルーフィングシート」と呼ばれる防水シートを直張りします。もし、既存の屋根の下部にある野地板が著しく劣化している場合は、野地板を増し張りした上から防水シートを張ります。
野地板を増し張りするかどうかは施工業者の判断となりますが、増し張りの場合は費用が高くなるので注意しましょう。
ちなみに、防水シート張りは「900円〜1,200円/㎡」が相場です。防水シート張りの費用は、使用するシートの種類や耐久性によって異なります。
エコグラーニを設置する
下地材の施工を終えたら、いよいよエコグラーニの設置作業を行います。エコグラーニ設置の後は、同質役物を取り付けていきます。
エコグラーニの設置費用は、材工あわせて「7,000円/㎡」を目安にしましょう。
足場を解体する・完工
工事を終えたら、最後に足場を解体します。足場を解体して、周囲の清掃及び確認を終えたら完工となります。
ここまでの工程にかかる費用は、足場設置と防水シートの施工、エコグラーニの施工を合わせて約100万円前後となります。もちろん、屋根の面積や立地、劣化状況によって、費用は前後すると認識しておきましょう。
まとめ
今回はエコグラーニの特徴や工事事例、費用について解説しました。
エコグラーニは「ガルバリウム鋼板」と同じ組成の「ジンカリウム鋼板」を基材としており、長期間にわたり美観を保持できるほか、高い耐久性に優れているのが特徴です。また、他の屋根材と比べて非常に軽量であるため、建物への負担が少なく、耐震性アップにつながります。
したがって「重量を考えて、瓦屋根からエコグラーニに葺き替えたい」「スレート屋根の上に軽くて丈夫なエコグラーニを被せたい」などのケースに有効です。
ただし、エコグラーニは輸入品であるため、タイミングによっては在庫が品薄になったり、価格が高騰したりするリスクがあるのはネックとなるでしょう。
とはいえ、エコグラーニは機能性の高さに優れていることもあり、30年保証がついています。長期的な視野でリフォームを検討している方は、エコグラーニを採用してみてはいかがでしょうか。