外壁塗装の工程の「養生」とは?
外壁塗装の工程の「養生」とは?
みなさんは、「外壁塗装」などの工事をするときに、家の周りを飛散防止シートや窓枠などにテープを貼ったりするところを見たことがあると思います。
それは、外壁塗装の工程の「養生」という作業です。
今回は、その「養生」とは何か? また「養生」で気をつけるべきことなどのお話をしたいと思います。
養生といえば、引っ越しのときに体験した、もしくは目にしたという人も多いのではないでしょうか。
引っ越しの作業では建物に傷がつかないよう段ボールを敷いたり、柱に布を巻きつけたりしますが、外壁塗装での養生もそれと近い目的を持ちます。
今回は、外壁塗装での養生のチェックポイントから、養生で活躍する道具、養生にかかる費用の相場や注意点までを網羅してみました。
養生って何?
養生とは、建築現場で広く取り入れられている作業工程のひとつです。
建築現場においては、「建物の保護」を目的として家屋をビニールシートやメッシュシートで覆う工程を指します。
本作業の前に施し、納品時にはすべて撤去するのが原則です。
◆塗料の飛散を防ぐ
外壁塗装における養生の役割は、主に塗料の飛び散りを防ぐことです。
塗料は液体ですから、それを人の手で塗るとなれば、飛散はもちろんのこと、塗らなくてよい部分まで塗ってしまうことも考えられます。
よって、外壁塗装をする際には、あらかじめ養生を済ませてから塗装作業に入るのが一般的です。
◆飛散防止ネットで家全体を覆う
外壁塗装では主に2つの方法が採用されています。
1つは刷毛(はけ)やローラーを使う「手塗り」という方法で、もう1つはスプレーガン等で噴射する「吹き付け」と呼ばれる方法です。
特に「吹き付け」を使用する場合は、施主(依頼主)の家屋の近隣にも飛散しやすいことから、事前に飛散防止ネットで家全体を覆います。
また、飛散防止ネットは高圧洗浄時の水の飛散にも対応できるため、外壁塗装の際に広く活用されています。
◆こんなところも養生が必要!
飛散防止ネットは家全体を覆いますが、それはあくまで近隣に対する塗料の飛散を防止するための対策です。
では、施主自身の家に対してどこに養生を施すのかといえば、ズバリ「塗装をしない箇所すべて」になります。
◆施主の日常生活に配慮した養生
塗装によって窓ガラスやマイカー、家の中の家具・家財などが被害を受けることもあります。
そのため、業者は各箇所に応じて適切な養生を施します。
マイカーや植木であれば全体を覆うための養生、ベランダや窓枠には塗料が室内に浸入しないようにするための養生、そしてエアコン室外機には、その使用を妨げないような養生など、施主の日常生活に配慮して施します。
施主側が知りたい養生のチェックポイント
養生すると、勿論窓はふさがれてしまいます。
塗装中は窓を閉めておくのが原則で、数日間は開けられないため、夏場は暑苦しさを感じることがあるかもしれません。
どうしても開けておきたい窓がある場合には、事前に業者に相談しておきましょう。
当然ながら洗濯物は外に干すことができないため、外壁塗装の工期中は部屋の中に干すか、コインランドリーの使用を検討することをおすすめします。
また、エアコンの使用は業者次第なので一概にいえませんが、事前に相談しても良いと思います。
例えば、室外機に特殊なメッシュシートをかぶせて、塗料や臭いの浸入を軽減させることも可能です。
季節に合わせて、事前に業者と相談しておくとよいでしょう。
養生に使用する道具の種類と特徴
施工者が養生を施す際は、用途に合わせて多彩な養生道具を使い分けます。
ここでは主な道具の名称と、それぞれの特徴をお話しします。
◆養生用ポリシート&マスキングテープ
主に窓枠の養生で活躍する養生用ポリシートは、マスキングテープとセットで使われます。
一般的なビニールより特大サイズの養生用ポリシートと、布テープより粘着力の弱いマスキングテープを使用することが多いです。
窓枠全体をビニールで覆ったあと、窓枠を縁取るようにマスキングテープで留めていきます。
◆マスカー
マスカーとは、養生用ポリシートとマスキングテープの機能が合体した優れものです。
マスキングテープのように貼るだけで、「貼る+覆う」という作業が同時にできます。
◆ノンスリップマスカー
こちらはマスカーに「滑り止め機能」がついたタイプのものです。
施工者の足元の保全を目的としているため、主に玄関周りやベランダなどで使われています。
◆ブルーシート&布カバー
足元に敷く養生では、ノンスリップマスカー以外にブルーシートや布カバーを使う場合もあります。
ブルーシートには滑り止め機能はありませんが、布カバーは滑りにくいのが特徴です。
いずれも長尺かつ幅広タイプのものが多いため、広範囲の養生を必要とする際に活用します。
◆カーカバー&室外機カバー
車全体を覆うカーカバーは、厚手のタイプから薄手のタイプまであります。
室外機カバーは、前項で説明したメッシュ機能を持つ特殊タイプのほか、マスカーで作るオリジナルタイプもあります。
◆布テープ
粘着力が強いため直接使用することはありませんが、長尺のビニールをつぎ足したり、補強したりする場合に活躍します。
◆飛散防止ネット
こちらは家全体を覆うメッシュシートのこと。
足場の設置と同時に施され、ひもでくくって固定するタイプが主流です。
通気性を持ちながら、風の影響も考慮してあるのが特徴で、ずっしりとした重みがあります。
よく家の工事をしているところで、最初に目につくシートです。
養生にかかる費用の相場
養生の平均価格帯は、飛散防止ネットで1平方メートルあたり200~400円程度、塗らない場所の養生で300円~500円程度です。
これを坪単価に換算すると、1坪(約3.3平方メートル)あたり約660~1,320円、1,000~1650円程度になります。
家の坪数で考えると、30坪の家では49,800~89,100円といったところです。
外壁塗装一連の工程のなかでは安価な部類といえるでしょう。
◆もし塗料が飛散してしまったら?
塗装の際、業者は細心の注意を払いながら施工にあたりますが、塗料が飛散してしまう場合もあります。
そうしたときは、剥離材を使用して塗料を剥がすのが一般的です。
ただ、剥離剤を使用するには手順があるため、素人がDIY感覚で実践するのは絶対におすすめできません。
よって、塗装作業の終了と同時に、施主側も室内外をくまなくチェックし、塗料の飛散があれば業者に報告して即時対応を依頼するのがポイントです。
一方、マイカーや近隣に塗料の飛散の被害が及んだ場合は、保険が適用される場合もあります。
外壁塗装を依頼する前に、業者が「請負業者賠償責任保険」に加入しているかどうかを確認しておくことも大切です。
養生は外壁塗装に不可欠な作業
養生は施工者の安全確保をはじめ、室内や近隣への塗料の飛散を食い止める重要な作業です。
塗装のように技術を伴う作業ではありませんが、塗料の飛散を想定したり、施主側の生活スタイルに配慮したりするなど、施工をスムーズに進めるうえで欠かせない下準備といっても過言ではないでしょう。
外壁塗装を依頼する際は、塗装の技術力はもちろん養生についても把握しておき、きちんと対応する業者かどうかを確認することが大切です。
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