今回は、悪徳屋根修理業者による詐欺被害の手口をご紹介したいと思います。皆さんは『点検商法』や『指摘商法』と呼ばれる、悪徳業者が良く使用する手口はご存知でしょうか?もともと住宅リフォーム業界は、訪問販売による詐欺被害が非常に多いと言われており、訪問販売で突然やってくる業者に注意しているという方は多いと思います。しかし、台風の大型化によって屋根の被害が急増しているここ数年では『点検商法』や『指摘商法』と呼ばれる手口に騙されてしまう…という方が増えていると言われています。点検商法に関しては、古くからある手口で、突然やってきた屋根修理業者を名乗る人間が「この辺りをキャンペーンで周っているのですが、無料で点検だけしませんか?」などと、親切に声をかけてくる商法となります。こういった場合に「無料なら…」と、業者を屋根に上げてしまうと、ありもしない劣化を報告したり、最悪の場合自ら屋根を破損させて修理の必要性を訴えてくるのです。
もちろん、本当に屋根に何らかの不具合が生じていれば、ベストタイミングなのかもしれませんが、ほとんどの場合、不必要な工事をすすめられ、業者に言われるまま高額な契約をしてしまう…といった状況になってしまうのです。特に現在は、新型コロナウイルスの影響で、家にいることも増えていることから、こういった悪徳商法の営業を受ける機会も多いかもしれません。そこでこの記事では、悪徳屋根業者に騙されないため、ここ数年で急激に増えている『点検商法』と『指摘商法』がどういった手口なのかを分かりやすくご紹介しておきます。
『点検商法』や『指摘商法』ってどんな手口?
それでは、悪徳住宅リフォーム業者などが良く利用すると言われている『点検商法』や『指摘商法』の詳細についてご紹介していきましょう。点検商法に関しては、古くからシロアリ駆除の悪徳商法などとして有名で、住宅リフォーム関係の消費者トラブル相談では、この手口に引っかかって…というものが非常に多いと言われています。
さらに近年では、台風の大型化などを原因として『指摘商法』と呼ばれる詐欺手口の相談が急増していると言われています。一昨年千葉県であった台風被害の報道でも、多くの住宅が屋根被害に困っている中、屋根修理に法外な費用を請求された…といった報道が盛んにされていたのは記憶に新しいのではないでしょうか。ここではまず、『点検商法』と『指摘商法』がどういった手口なのか、その詳細をご紹介しておきます。
点検商法とは?
古くから住宅リフォーム関係の訪問販売で使用されているのが『点検商法』と呼ばれる手口です。この手口は、「近くで工事をしている」「このエリアをキャンペーンで周っている」などという名目で、突然屋根修理業者を名乗る人が訪問してくるものです。この場合は、梯子などの道具があるから、『無料』で屋根の点検を行いますなどと言ってきて、住人が「無料なら…」と屋根に上げてしまうというケースが多いです。そして、業者を屋根に上げてしまうと、上で撮影したという写真を見せてきて「屋根材が割れている」「屋根材がズレている」という理由で屋根修理が必要だと迫ってくるのです。
実際に近年では、弊社にも「訪問販売業者に点検してもらったら屋根修理が必要だと言われたのですが、一度見てもらえますか?」といったセカンドオピニオン的な問い合わせが増えています。もちろん、点検した結果、修理が必要な場合もありますが、以下のような状況の屋根も少なく無いのです。
- ●修理の必要がない
点検してみた結果、特に修理の必要がない屋根も多いです。こういった場合は、よく似た他の屋根の写真を用意しておき、それを確認させられた…ということが考えられます。住人さん自体が屋根に上がれないということを使って、うその報告をするわけです。
- ●故意に破損させられた
実際に破損している箇所は見つかったものの、屋根材の割れ口がまだ新しい…台風での被害とは考えにくいなど、屋根に上がった業者が故意に破損させた…と考えられる症状も少なくありません。こういった手口を使う業者はかなり悪質だと言えます。
上記のように、セカンドオピニオンとして他の業者に点検を依頼した場合、不用な工事をしなくても済むという場合もあります。しかし中には、数万円の工事と説明し「車に道具があるので、すぐに修理しましょうか?」などと言われてしまい、そのまま工事を依頼するパターンもあるようです。こういった場合には、不用な工事に無駄なお金をかけてしまうことになるわけです。
悪徳訪問販売は、少額詐欺の場合もありますので、いくら『無料』だと言われても、突然訪問してきた業者を屋根に上げるのはやめておきましょう。
指摘商法とは?
次は『指摘商法』です。近年では、この指摘商法による屋根修理の詐欺被害が急増していると言われています。指摘商法に関しても、点検商法と同じく屋根業者を名乗る人間が突然訪問してきます。点検商法との違いは、より信ぴょう性を持たせるため、あなたの家の屋根がすでに破損しており、それを伝えに来てあげたというスタンスをとるのです。例えば、近くで工事をしている業者を名乗り、「現場からお宅の屋根が破損しているのが見えて、親方に伝えてこいと言われた」など、親切に教えてくれているという体で近づいてくるため、信用してしまう方がいるのです。
また、この手口の場合「近くで工事をしている」という前提条件があるため、「道具が揃っているのですぐに修理しましょうか?」というセリフも親切で言ってくれていると聞こえてしまうものです。大掛かりな工事になると、近くの工事で使用している足場を流用するので、足場代を安くできます…などと、お得感まで出せる手口になります。
指摘商法も点検商法と同じく、住人さんが屋根の上を確認できないことを良いことに、「既に不具合が出ているから、放置していると大変なことになる…」などと不安を煽ってくる詐欺手口となります。特に、台風などが過ぎ去った直後であれば、その指摘により信用性が載せられてしまうため、つい契約してしまう…という方が増えているようです。どちらにせよ、突然訪問してきた業者とその場で契約するのではなく、他の業者にも屋根の点検を依頼して相見積もりをとるようにしましょう。
悪徳業者の共通点を知っておこう!
それでは最後に、悪徳屋根修理業者に騙されないためにおさえておきたいポイントをご紹介しておきましょう。こういった手口に騙されないようにするには、「突然訪問してきた業者を屋根に上げない!」「普段から屋根の状況を自分でも確認しておく」「その場で工事を依頼するのではなく、他の業者にも点検を依頼する」などと言った対応が非常に重要です。特に、屋根に何らかの問題があった際、すぐに相談できる地元の業者を作っておけば、指摘商法で「既に不具合がある!」と言われても、「馴染みの業者に頼むので大丈夫です」と断ることができるようになるでしょう。
他にも、悪徳業者にはいくつかの共通する特徴がありますので、その特徴を覚えておくということもとても大切です。以下に、悪徳業者に共通する特徴をご紹介しておきます。
- ●突然訪問してくる
「近くで工事をしている」「キャンペーンで周っている」など、悪徳業者は突然訪問してきます。屋根修理は、HPなどで広告を出し、お客様からの問い合わせをもとに点検・修理を行う方が圧倒的に効率的です。それにもかかわらず、エリアを決めて全世帯を訪問するような営業方法を採用するのは、HPなどに情報を出せない後ろ暗い理由があるからと考えた方が良いかもしれません。
- ●梯子や修理道具がたまたまある
普通に考えれば明らかにおかしいですよね。どんな工事が必要か分からないのに、持ち歩くわけはありません。ちなみに、このセリフの不自然さを無くすため、「近くで工事をしている」などというのでしょう。
- ●名刺を渡さない
悪徳訪問販売業者の多くは、名刺を渡してきません。「検討して連絡するので」などと前向きな返答でも名刺を置いていかない業者があるほどです。そもそも、訪問時点で名刺を出して会社名や名前を言わないような業者は信用しない方が良いです。
- ●とにかく屋根に上がろうとする
悪徳屋根業者を屋根に上げてしまうとおしまいです。上述したように、故意に屋根を破損させてしまうような業者がいるほどです。突然訪問してきた業者は、絶対に屋根に上げてはいけません。
悪徳訪問販売業者は、上記のような共通する特徴を持っています。これを知っておけば、「この業者は怪しい…」と判断できるようになると思いますので、ぜひ覚えておきましょう。
まとめ
今回は、近年急増していると言われている屋根の『点検商法』や『指摘商法』について解説してきました。残念ながら、古くから住宅リフォーム業界では、悪徳な手口で法外な費用を請求する詐欺業者が存在します。これは、屋根修理業界も同じで、自ら屋根を破損させて修理工事を契約させようとする業者まで存在するのです。
こういった手口に引っかからないようにするには、「屋根修理業界には悪徳業者もいる!」という認識を持っておき、少しでも怪しいと思えば他の業者の話も聞いてみるようにすることです。他にも、何かあった時には、すぐに対処を依頼できる近場の屋根業者を見つけておくという方法も有効です。
いつもお世話になっている業者があれば、突然訪問されたとしても、その場で強引に契約させられてしまう…なんて被害を防ぐことができるはずです。