今回は、近年急増していると言われている、悪徳屋根工事業者による詐欺被害の手口についてご紹介していきたいと思います。住宅リフォーム業界では、古くから訪問販売営業による消費者トラブルが多いことが有名ですが、台風の大型化が進んでいると言われている近年では、屋根修理に関する訪問販売トラブルが急増していると言われているのです。
特にここ2・3年で急増していると言われているが『点検商法』や『指摘商法』と呼ばれる手口です。これは、突然家に訪問してきた屋根業者を名乗る人物が「近くで家で屋根工事しているのですが、お宅の屋根に問題があるように見えたので、無料で点検だけしませんか?」などと、親切な業者を装い近づいてくる商法です。
誰でも、専門業者を名乗る方から「屋根に問題が出ている…」と言われればびっくりしてしまいますので、「無料なら」と点検を依頼してしまう可能性があるでしょう。そして、屋根の上が住人には見えないことをいいことに、「葺き替え工事をしなければ大変なことになりますよ!」などと、何の問題もない屋根なのに、恐怖心を煽りながら工事を勧めてくるのです。
さらにひどい手口では、屋根に登った業者がわざと屋根を破損させ、そこを撮影して住人に見せるなんて手口まであるそうです。
最近では、台風による屋根被害は火災保険で修理できるなどと言ったことが、一般の方にも知れ渡ってきていますので、こういった際に「火災保険で修理できます」などと言われれば、つい工事の依頼をしてしまうということも考えられます。しかし、本来必要のない工事の可能性が高いですし、相場よりも高額で質の悪い工事をされて、逆に工事のせいで雨漏りが始まる…なんてことも増えているのです。そこでこの記事では、皆さんが注意しておきたい、悪徳屋根修理業者の手口や、セールスの特徴をご紹介しておきます。
リフォーム詐欺に多い『点検商法』や『指摘商法』ってどんな手口?
ここ数年、悪徳業者による屋根修理の詐欺手口では『点検商法』や『指摘商法』が急増していると言われています。点検商法に関しては、シロアリ駆除などの悪徳商法としても有名で、昔から住宅リフォーム業界で発生する消費者トラブルの相談では、この手口に引っかかってしまった…という方が多かったです。
さらにここにきて、屋根修理業界で『指摘商法』と呼ばれる手口による相談件数が急増していると言われているのです。また昨年日本では、大型台風が複数上陸したこともあり、悪質な訪問販売業者が活動しやすくなったというのも大きな理由だと思います。ここでは、『点検商法』や『指摘商法』がどういった手口なのかを簡単にご紹介しておきます。
『点検商法』の特徴
それではまず、訪問販売手口として非常に有名な『点検商法』の特徴からです。これは、突然訪問してくる屋根業者で、「近くで工事をしている」「この辺りをキャンペーンで回っている」などと言う名目で「無料で屋根の点検を行っています」などと声をかけてくるものです。そして「無料なら」とその業者を屋根にあげてしまうと、上で撮ってきたという写真や動画を見せながら「屋根材が割れている…」「屋根材がズレている」「板金の釘が抜けかけている」などと説明し、屋根工事の契約を迫るのです。
実際にゼファンにも「訪問販売の屋根業者に点検してもらったら、屋根工事をしないと大変なことになると言われたので点検してほしい」などと言うセカンドオピニオン的な問い合わせが多く入ってきます。こういった問い合わせを受けて、弊社が点検を行ってみた際には、以下のようなパターンも少なく無いのです。
- 何の問題もなかった
屋根に職人が登って点検してみても何の不具合も生じていないという場合も多いです。これは、よく似た見た目の別の屋根で起きた破損画像を予め用意しておき、それを見せられた…という場合もあります。屋根の上は、住人が自ら確認することが難しいので、破損しているとウソをつかれていたというパターンです。 - 故意に破損させられていた
屋根に登って確認したところ、実際に屋根材の破損が見られたが、割れ口が真新しく台風などで受けた被害とは考えられないという場合も多いです。これは、点検で屋根にあがった業者が故意に屋根材を破損させ、それを破損個所として見せてくるというパターンです。厳しいノルマが課せられている業者では、こういった手口を未だに使っている場合もあるのです。
これらの工事は、高額な屋根リフォームを提案されたため、相見積もりで弊社に連絡してきたものです。しかし中には、「車に道具があるので、今修理してしまいましょうか?」などと言われ、その場で数万円支払って悪徳商法だと気付けていないパターンも多いのです。
工事費用が高額な場合には、他社の話も聞くなど、悪徳商法の被害を防ぐこともできますが、少額詐欺の場合は騙されたことすら気付けていない…ということも多いのです。したがって、突然訪問してきて「無料点検」などをうたう業者は、絶対に屋根に上げないようにしましょう。故意に屋根を壊されても気付くことができません。
『指摘商法』の特徴
次は『指摘商法』の特徴です。突然訪問してくる…と言う点では『指摘商法』も同じなのですが、点検商法よりも信ぴょう性を持たせた話を作ってきますので要注意なのです。指摘商法では、近くで屋根工事をしている業者を装って、「現場の屋根からお宅の屋根が破損しているのが見えたので、親方に知らせて来いと言われた」などと、あなたの屋根に問題が出ているので親切で指摘しているといった体で近づいてくるのです。
この場合は、「近くで工事をしている」という前提条件もありますので、「道具があるので修理しておきましょうか?」などと言うセリフも信ぴょう性がありますよね。さらに、「近くの工事がもうすぐ終わるので、そこから足場を持ってくれば安く工事ができますよ!」などと、即決を煽る作戦にも使われることがあるのです。
この手口に関しても、住人が自宅の屋根の状況を自分で確認出来ないことを良いことに、「既に屋根が破損している…放っておくと大変なことになる」など、住人の不安を煽って断るという選択肢をとらせないようにするのです。大型台風が通り過ぎた直後などであれば、多くの住宅に被害が出てしまいますので、こういった手口が急増します。騙されないように注意しておきましょう。
悪徳屋根工事業者に共通する特徴をおさえておきましょう
冒頭でもご紹介しているように、住宅リフォーム業界は、昔から悪徳訪問販売による詐欺被害が非常に多いと有名です。しかしここにきて、上述した『点検商法』や『指摘商法』を用いた屋根修理に関する悪徳商法被害が急増していると言われているのです。
屋根は、住人自らが点検するのが難しい場所となってしまうため、業者に「破損しているから修理が必要」と言われてしまうと、それを信用するしかないという側面もあるのです。しかし、中には不必要な工事や不当に高額な費用を請求してくる業者もいるということを忘れてはいけないのです。ここでは、悪徳訪問業者に共通する特徴をご紹介しておきますので、ぜひ覚えておきましょう。
- 偶然を装う
「たまたま近くで工事をしている」など、偶然を装っていますが、悪徳業者はテリトリーを決めて全世帯に同じ話をしています。屋根修理は、HPなどで広告し、お客様からのお問い合わせの元、点検・修理を行う方が圧倒的に効率的です。それなのに、お金をかけてまで多くの人員で総当たりの営業をかけるということは、HPなどに情報を出せない何か後ろ暗い理由があると考えた方が良いでしょう。
- たまたま梯子がある、修理道具がある
これもよく考えればおかしなことです。しかし、その不自然さを解消するため、「近くで工事をしていて問題があるように見えた」などと言う『指摘商法』が流行しているのです。
- 名刺を残さない
こういった業者の多くは、名刺を渡してきません。例えば、「検討してから連絡する」などと前向きな返答をしたとしても、名刺を置いていかない業者まであるのです。まず最初に、名刺を出して会社名・名前などを言ってこない業者は即断るのがオススメです。
- 突然訪問してきたのに屋根に上がろうとする
悪徳業者を屋根に上げてしまうとおしまいです。上述したように、故意に屋根材を破損させるような業者もあるほどですので、訪問販売業者が「無料で点検する」と言っても、絶対に屋根に上げてはいけません。
- 高額な見積もり。断ると急な値下げをしてくる
悪徳訪問業者は、相場とかけ離れた高額な見積もりを提示してくる場合がほとんどです。これは、屋根工事にはわかりやすい定価が無く、お客様の屋根の状況により、必要な作業が変わってしまうためです。そのため、悪徳業者は、本来不必要な工事まで含めて見積書を提出してくる場合が多いため、びっくりするような価格を提示してくるのです。
- 高額な工事だから他の業者にも話を聞いてみる…などと伝えると、今度は意味不明な値下げで即決を勧めてきます。屋根工事に関係なく、こういった特徴を持つ業者とは契約しない方が良いです。
『点検商法』や『指摘商法』を行う悪徳業者は、上記のような特徴が当てはまりますので注意しましょう。基本的には、突然訪問してきた業者は、屋根に登らせないようにするのが最も安全な対処法と言えます。
なお、万一屋根に上げてしまった場合で、何らかの問題があると言われた場合でも、「いつもお願いしている屋根業者にも見てもらうので、大丈夫です。ありがとうございました。」などと、きっぱりとその場で断るようにしましょう。
今回は、屋根修理業界で急増していると言われている『点検商法』や『指摘商法』と呼ばれる手口を使った悪徳訪問販売業者の特徴をご紹介してきました。この記事でもご紹介しているように、住宅リフォーム業界は、昔から悪徳訪問販売が多い業界として有名で、現在でも国民生活センターなどへ多くの相談が寄せられていると言われています。
さらにここにきて、台風の大型化や火災保険が屋根修理に利用できるという情報が一般人にも出回ってきたことから、屋根修理業界で悪質な訪問販売トラブルが急増しているそうなのです。屋根は、中に住む人を風雨から守ってくれる非常に重要な部位となりますので、ここに何らかの問題があると言われると「修理しなければまずいのかな…」と考えてしまう方が多いようなのです。
特に、日常生活の中で、自分で屋根の状況を確認することができないため「無料で点検します!」などと言われると、ありがたいと考えてしまう方が多いのだと思います。
こういった悪質な訪問販売手口は、高齢者が狙われることが多いと言われていますので、親とは離れて暮らしている方などは、親御さんに注意するよう声をかけておくのがオススメです。また、訪問販売を受けた際には、その場で契約するのではなく、複数の業者に点検してもらい、相見積もりを取ってから契約するようにしましょう。
相見積もりを取れば、本当に工事が必要なのか、また提示された金額は適正なのかを判断する基準ができますので、騙されてしまう危険が少なくなります。