今回は、外壁や屋根の塗装工事を検討している方に向け、業者に現地調査などを行ってもらい、「いざ契約だ!」となった段階で皆さんが注意すべきポイントについて解説していきたいと思います。塗装工事業界は、訪問販売営業が現在でも盛んにおこなわれている業界で、住宅のメンテナンスとして必要不可欠ではあるものの、不用意に契約してしまうと「こんなはずじゃなかった…」と後悔する羽目になるリスクがあります。もちろん、多くの塗装工事業者はまっとうな営業を行っているのですが、ニュースとして取り扱われるのは悪い情報ばかりということもあり、必要以上に警戒している人も多くなっています。
ただ、塗装工事を請け負う業者の中には、不必要な工事を勧めてきたり、見積書とは異なる内容の請求をするといった悪質な業者が存在するのも事実です。そこでこの記事では、「この業者と本当に契約して大丈夫かな?」と迷った時、後々のトラブルを防止するために押さえておきたいポイントをご紹介します。
ポイント① 工事の内容について、不安や疑問があれば全て聞く
当たり前のことのようですが、いざ自分が工事の打ち合わせをするという段階になると「素人の自分がゴチャゴチャ言ってもな…」「専門家が言うのだからそういうものなのだろ…」「今の部分よくわからなかったけど、話の腰を折るのもな…」などと考えて、工事前に持っていた不安や疑問を解消せずに契約を進めてしまうという方は意外に多いのです。
最初に言っておきますが、工事の契約内容や見積り内容に、少しでも不安や疑問な点があれば、その場で確認し、疑問が解消できなければ契約しないという強いスタンスをとっておいた方が良いですよ。些細な疑問だからと、そのまま放置して工事に入ってしまうと、実際の工事に入ってからも不安が募ってしまうことになり、最悪の場合工事が終わった後も「本当に良かったのかな…」などと不安を抱えたままの暮らしになってしまう恐れがあります。
住宅の塗装工事と言うのは、7~10年程度に一度という頻度で行うものですし、アフターフォローなどの契約もあることから、工事後もその業者と長く付き合っていく可能性があるのです。業者からしても、お客様の不安や疑問をすべて解決し、納得したうえで工事を進めることができるに越したことはありません。したがって、
「○○と言う塗料との違いは何なのですか?」
「他の業者と塗装面積が違うのですがなぜですか?」
「A社は、○○もした方が言っていたのですが、必要ないのですか?」
上記のように、少しでも気になったポイントがあれば、きちんと質問して契約をする前に解消しておきましょう。
ポイント② 契約書類の確認
これも当たり前のポイントです。特に、塗装工事は『見え方』の問題で後々トラブルになってしまうようなケースもありますので、他の住宅リフォーム以上に契約書類を隅々まで確認しておくべきと考えてください。
工事の契約書類と言うのは、万一何らかのトラブルが発生した時でも「契約書にはこう記載されています!」と言うように、業者側の間違いを指摘する重要な証拠になるものです。
そして注意が必要なのは、これと全く逆の状況であなたが困ってしまうケースがあるという点です。例えば、打ち合わせ時に話していた内容が、契約書類に記載されていないとしましょう。この場合、あなたが「打ち合わせでしっかりと営業の方に伝えています!」と主張したとしても、契約書に記載されていなければ「契約ではそうなっていません」と泣き寝入りしなければならなくなってしまう可能性があるわけです。塗装工事などで、工事後に発生するトラブルは「聞いていた内容と違う!」と言ったものが多く、こういったトラブルのほとんどは「言った言わない」の泥沼になってしまうのです。そして、このケースでは、最終的に「契約書に記載されているかどうか?」が勝負になり、悪質な業者の中には「契約書に記載されていないということは言っていないのだ」とごまかしてくるような場合があるわけですね。
塗装工事のような高額な工事契約をする際には、きちんと契約書の中身を確認し、あなたの要望が全て記載されているのか、また業者との認識に相違が無いかチェックしなければいけません。例えば、「○○について記載されていないのですが!」と業者に言った所「書かなくてもやりますので安心してください!」など、口頭で済ませようとする業者は危険です。
他にも、工事の工程表や保証書、クーリングオフに関する書面など、すべてそろっているのかも確認しておきましょう。
ポイント③ 工事後のアフターフォローについて確認
建物の塗装工事は、その場での工事が終われば全て完了と言うわけではありません。工事が終わった後も、長期的な補償期間がありますし、万一の時はその業者さんに手直ししてもらう必要があるわけですので、工事後も関係が続くと考えてください。
一般的に、塗装業者さんは、自分が工事を行った住宅に何らかの問題が生じたとしても、すぐに対処ができるようアフターフォローメニューを設けています。ただ、このアフターフォローに関しては、企業努力の部分になりますので、その内容が業者によってバラバラなのです。したがって、自分に最適なアフターフォロー体制になっている業者なのかを事前に確認して契約しなければ、後々後悔してしまうことになります。
優良業者であれば、以下のようなアフターフォローが付いているはずです。
- ・1年に1回、もしくは2年に1回など、定期的な点検を行ってくれる
- ・定期点検の時期が近付くと書面などで知らせてくれ、点検希望日を決めることができる
- ・保証期間内の劣化は、連絡するとすぐに補修してくれる
- ・次の塗り替え目安を教えてくれる
塗装工事業者からすれば、真面目にアフターフォローしておけば、10年後に再度塗装工事に入れるという考えもありますので、まともな業者であれば「ここまでしてくれるの!」と少し驚くような手厚いフォロー体制が出来上がっています。なお、こういったアフターフォローに関しては、当然工事費の中に含まれているわけですので、格安の塗装工事業者であればなかなか難しいかもしれません。
もちろん、格安の業者が悪いというわけではなく、そういった業者でも、点検の頻度が少ない程度で、アフターフォローをしっかりと行う業者は存在します。ただ、施工費が安いだけで、アフターフォローが何もない…と言うのは少し危険ですよ。この場合、次の塗装工事の時期を自分で見極めないといけませんし、思わぬ劣化が生じていたとしても、気付くことができず、大きな問題に発展してしまう恐れがあるのです。
ポイント④ 契約後、業者の態度に変化があるか
これは、クーリングオフ期間の間の話です。どの業者も、契約書を交わすまでは、お願いした資料をすぐに用意してくれたり、頻繁に連絡をくれたりと、「工事を任せても安心だな」と思ってもらえるような手厚い対応をとってくれるはずです。
しかし、工事の契約書を交わした後は態度が豹変して、言葉遣いや立ち振る舞いが荒々しくなる…なるなんて業者があるのです。さらに、お願いした資料なども約束の期日までに提出してこないなんて話もよく聞きます。このような業者は非常に危険な業者と考えられますので、一度クーリングオフをして考え直した方が良いでしょう。
優良な塗装工事業者であれば。初対面の時から契約後の工事、工事完了後のアフターフォローまで、態度を変えることなく常に親切な対応をしてくれるはずです。
まとめ
今回は、屋根や外壁の塗装工事を検討している方に向け、業者との打ち合わせを完了し、実際に契約する段階で注意すべきポイントをご紹介してきました。
塗装工事業界は、悪徳業者による訪問販売がいまだに盛んにおこなわれている業界ですし、飛び込み営業さえ注意していれば、業者とのトラブルは防げると考えてしまっている方が多いです。もちろん、訪問販売はすべてシャットアウトするという手段は、トラブル予防を考えた時には非常に有効だと思います。
ただし、塗装工事のトラブルに関しては、訪問販売業者以外でも起こり得るものですので、なるべくトラブルが発生しないように注意するのであれば、この記事でご紹介したポイントを頭に入れておきましょう。