今回は、屋根修理や屋根リフォームを依頼する業者選びの際、皆さんがおさえておきたいいくつかのポイントをご紹介していきたいと思います。
何でもインターネットで検索するのが当たり前となってきた現在では、屋根修理や葺き替えなどのリフォームを検討した場合、工事を依頼する業者はネット検索で探すという方が多くなっていますよね。例えば、雨漏りが発生した…なんて場合、スマホやPCを使って「雨漏り修理 地名」などと検索して、上位に表示された業者にとりあえず電話してみるといった行動が最も一般的な緊急時の対処になっているのではないでしょうか?
もちろん、ネット検索をすれば屋根リフォームなどを専門としている業者のホームページが一覧で表示され、すぐに電話できる業者が見つかるという点では非常に便利な時代になったと言えるでしょう。しかし、ネットで表示された業者が本当に、技術を持った信頼できる屋根業者なのか…というとそうではないのがネット検索の困ったところです。ネット上のホームページは、画像と文章などで情報を掲載していくものですし、本来は屋根修理などの経験など一切ないような業者でも、「本物の屋根の専門業者」を装うことが非常に簡単です。中には、他社の施工事例の画像をそのまま流用し、集客を行うような悪徳な業者もいるなど、お客様側が業者を見極める目を持っておかないと、後々大変なことになってしまうような時代なのです。
そこでこの記事では、屋根修理や屋根リフォームを依頼する業者を探すときに押さえておきたいポイントをご紹介します。
そもそも屋根修理ってどんな業者が対応できるの?
屋根修理や葺き替えなどの屋根リフォームについては、一般の方からすれば、住宅リフォームの一種と考えてしまうものですし、屋根に何らかの問題が生じて、その修理なりリフォームなりを依頼する場合でも、一般的なリフォーム業者に言えば良いのかなと考えてしまっているのではないでしょうか?
もちろん、大手リフォーム業者の中には、『屋根リフォーム部門』を設けている場合もあるのですが、屋根はその他の住宅リフォームとは一線を画すほど専門性が高いと考えておいた方が良いです。特に、瓦屋根などになると、『かわらぶき技能士』などという国家資格なども作られているほどで、住宅リフォームの中でも特に難しい工事だと思っておいた方が良いです。つまり、「屋根修理なんてどこでもできる!」という考えは大間違いで、屋根の仕上がりや強度は業者の『ウデ』や『経験』が大きく影響を与えると思っておきましょう。
ここではまず、屋根修理や屋根リフォームを受け付けているいくつかの会社の種類をご紹介しておきます。
- ●屋根工事専門業者
まずは屋根工事を専門としている業者です。なお、屋根工事の専門業者の中には、『瓦屋』や『板金屋』などと呼ばれる特定の屋根材を取り扱う業者もいます。ただし、板金屋がスレート屋根を扱うなんてことは増えていますので、屋根工事専門業者の中でも異質なのは瓦屋根を専門とする業者ぐらいでしょう。屋根の葺き替えやカバー工事、雨漏り修理などに関しては、最も信頼できる業者がこのタイプだと思います。注意が必要なのは、ホームページなどで屋根工事の専門業者を名乗っているものの、実際の施工は下請けに丸投げみたいな業者も増えています。また、屋根塗装に関しては、塗装業者に依頼する方が良いかもしれませんね。雨樋の修理なども同時に行う場合、屋根工事業者に塗装を依頼すれば、塗装業者を手配してくれると思います。
- ●工務店・建築会社
どの地域にも、昔ながらの地域に根付いた工務店・建築会社というものはあると思います。大工仕事であれば、こういった業者に相談するのが正解だと思います。こういった業者は、戸建ての建築なども行っていますので、当然屋根工事も問題なくできると考えている方が多いですね。しかし、こういった業者は、屋根工事の部分のみ上述した屋根工事専門業者に仕事を依頼するという形をとっています。つまり、雨漏り修理など、急ぎの工事などになると、上述した屋根工事専門業者に直接依頼したほうが動きが早いと思います。
- ●大手リフォーム会社
大手リフォーム会社には、屋根工事部門が必ずあると思います。というのも、国土交通省などが家を良い状態で維持するためには5年に1度程度の頻度で屋根メンテナンスを入れることを推奨しているなど、住宅にとって屋根の工事は非常に重要な存在なのです。したがって、大手リフォーム会社がそういった工事を引き受けないわけはないということです。ただし注意が必要なのは、それなりの規模のリフォーム会社でも、内装リフォームを得意とする業者と、外装リフォームを得意とするなど違いが存在します。後者の場合であれば問題ないのでしょうが、前者の場合、下請けに丸投げになってしまい、業者の腕の保証がありません。また、会社の規模が大きい分、工事費用などは割高になってしまうでしょう。
- ●ハウスメーカー
築10年以内に雨漏りした…という場合などは、家を建てたハウスメーカーに連絡しましょう。外的要因で建物が破損した以外で、10年以内に建物に問題があった場合、「瑕疵(欠陥)」としてハウスメーカーの負担で補修工事をしてもらうことができます。築10年を経過しているのであれば、屋根は屋根の専門業者に依頼するのがオススメです。ハウスメーカーは、自社で施工するのではなく、施工は全て指定の下請け業者が行いますので、余計な時間やコストがかかってしまうだけです。
- ●ホームセンターのリフォーム窓口
最近では、ホームセンターがリフォーム事業を行うようになっています。そして店頭で屋根リフォームなど、住宅の工事を依頼できる手軽さで人気です。基本的に、全国展開しているような有名ホームセンターチェーンが行っていますので、会社のネームバリューから非常に高い信頼感を持たれています。ただし、ホームセンターのリフォーム窓口で工事を依頼しても、そのホームセンターが工事するわけではないと考えてください。基本的に、地域にある工務店などと連携して行っているだけの事業で、実際の施工は下請け工事になり、どのレベルの業者が来るか分かりません。
このように、屋根修理や屋根リフォームでも、その依頼先は複数の候補があると考えてください。ただし、どの業者に依頼したとしても、専門性が高い屋根の工事は、最終的に屋根工事専門業者に依頼が回ってくるという形になっています。ハウスメーカーに工事を依頼した場合を参考にすると、「あなた⇒ハウスメーカー⇒屋根工事専門業者」と言った感じで連絡が回り、あなたの家に工事にやってくるのは屋根の専門業者になるわけです。
これなら「どこに行っても安心じゃん!」と思うかもしれませんが、間に余計な業者を挟むと、その業者の分の利益が工事費ののせられてしまうことになるため、同じ工事なのに割高になってしまうのです。安く信頼できる工事を行いたいなら、初めから屋根工事専門業者に依頼するのがオススメですよ。
業者選びの際に覚えておきたいポイント
それでは、実際に屋根修理や屋根リフォームを依頼する場合、どの業者を選択すればよいのかを決めるためのポイントをご紹介していきます。
工事保証の有無
どのような住宅リフォームを行う場合でも、工事保証の有無は確認しておきましょう。屋根工事に関しては、「製品保証」や「瑕疵保険」が有名ですが、各業者を比較して業者選びをするときには自社保証制度がきちんと存在するのかが大切です。
屋根材を部分的に交換するといった簡易工事は別にして、葺き替えやカバー工事、塗装工事などに何の自社保証も付けない業者はオススメできません。逆に、「生涯保証」などの長期保証を設けている場合、業者の自信の表れですので、信頼できる施工力があると考えられます。
施工事例を確認
冒頭でご紹介したように、今の時代、自宅のリフォームを依頼する業者はネット検索で探すものです。当然、業者側もこれをよく理解していますので、ホームページにはかなり力を入れるようになっています。そして、業者選びをするときには、ホームページ上の施工事例をしっかりと確認しておきましょう。
当たり前のことですが、金属屋根への葺き替えを検討している方が、金属屋根の施工経験がない業者には依頼したいと思いませんよね。こういった部分は、ホームページの施工事例である程度確認できますので、普段どういった工事を行っているのか、あなたが依頼したいと考えている工事の経験があるか確認しましょう。なお、他社の画像を勝手に流用しているような業者もありますので、現地調査や打ち合わせの際に、似たような工事の施工写真を持ってきてもらうようにすれば、本当の事例かどうかが分かります。
専門の職人が施工を行うのか?
最も良いのは、その会社に「屋根葺き士」や「塗装技能士」「建築板金」などの資格保有者が在籍していることです。ただし、最近では複数の会社が合同で事業を進めているような場合もありますし、実際に施工する人間が持っていれば良いとも言えますので、「資格者が工事するのか?」を確認しておけば良いと思います。
なお、施工自体は資格が無くても可能ですので、資格がない業者は技術がないというわけではありません。あくまでも一定の指標になるというぐらいで考えてください。
デメリットをきちんと説明してくれる
どのような工事にしても、メリットの説明よりも、デメリット面をキチンと説明してくれるかが重要な判断ポイントです。デメリットの説明は、工事に消極的になられるかもしれないことですし、業者側からすると、なかなか説明がしにくいものです。
しかし、どのような工事にもメリットがる一方で、デメリットが存在するのです。例えば、屋根塗装を行う場合、高機能な塗料ほど耐用年数が高く高機能というメリットがあるものの、施工費用が高くなってしまう…というデメリットが存在します。メリットばかり説明し、その辺りを無視する業者は、「契約が取れれば何でも良い」と考えている場合も多いですし、デメリット面もきちんと質問してみましょう。
費用の安さだけに注目しない
同じ工事をする場合、できるだけ安い見積りの方が良いと考えるのは当たり前ですよね。例えば、ある会社が相場通りの見積りを提出してきて、もう一社は相場よりもかなり安い見積りを出してきた場合、皆さんはどちらを選ぶでしょうか?おそらく、安い価格を出した会社を選ぶのではないでしょうか?
しかし、価格の安さだけで業者選びをしてしまうと、後々痛い目を見るのは自分だと考えておきましょう。そもそも、どのような工事にも相場の価格というものが存在しており、何の根拠もなくその価格になっているわけではないのです。材料費もかかりますし人件費や雑費など、どの業者でも同様にかかる費用があるのですから、ある程度似たような費用になるわけです。
それなのに、その相場を大きく割り込むような安い価格を出してきた場合、それは企業努力ではなく「どこかに手を抜いている…」と考えるべきです。他の業者が節約できない部分なのに、ある一社だけが大きく節約できるなんてことは現実的ではありません。こういった場合、見積り外のグレードの低い材料を隠れて使用する、アフターフォローが薄いなど、何らかの部分で無理矢理安くしているはずです。なぜその価格が実現できるのかをきちんと確認し、信ぴょう性があるのかどうかをしっかりと判断してください。
今回は、屋根修理や屋根リフォームを依頼する時、業者選びのポイントをご紹介してきました。この記事でご紹介したように、屋根工事に関しては、さまざまな依頼先が存在するものの、実は最終的な工事は屋根工事専門業者が行うことになります。いつもお世話になっている工務店に依頼しようが、家を建ててくれたハウスメーカーに依頼しようが、結局巡り巡って屋根工事業者に依頼が回っていくのです。
これは、屋根の工事というものは非常に専門性が高いもので、きちんと知識も経験も持っている業者でなければ正確な工事ができないからです。つまり、皆さんが工事を依頼する業者を探すときには、屋根工事業者のホームページを比較検討していくのが良いですよ。その他の選択肢を入れたとしても、工事はその業者が行うわけではなく、無駄に費用が嵩んでしまうだけです。
なお、業者選びの際には、上記のようにいくつも確認しなければならないポイントがありますので、雨漏りなど急いで工事をしてもらいたい…なんて時には、間違った選び方になってしまいがちです。こういった事を防ぐには、普段から自宅の屋根を定期的に点検してもらうような馴染みの業者を作っておくのがオススメですよ。
どちらにせよ、屋根というものはそこにあるだけで劣化が進みますし、台風の後などはきちんと点検してあげることが推奨されます。それなりの頻度で点検が必要な箇所ですので、いつも見てもらう…という主治医のような存在を作っておけば、万一の際も安心なのです。