スレート屋根のメンテナンス方法とタイミング
かつての主流だった和風住宅から、洋風住宅へ。日本の建築様式の移り変わりと共に高い需要が続いている 屋根材が「スレート屋根」です。薄くて軽い板状の素材「スレート」を使用したスレート屋根の寿命は約20年~25年と言われていますが、この寿命をまっとうさせるには適切なメンテナンスが欠かせません。スレート屋根を長持ちさせるには、具体的にどのようなメンテナンスが必要になるのでしょうか?
メンテナンスが欠かせない! スレート屋根とはどんな屋根?
スレートとは、現代の多くの住宅に使用されている薄い板状の屋根材です。粘板岩を加工した高価な天然ものもありますが、一般的には薄型化粧スレートとも呼ばれるセメントに繊維素材を混入したものが住宅に使われています。したがって、スレートといえば、薄型化粧スレート(以下スレート)をさすことが一般的となっています。
自宅の屋根をスレート屋根にするメリットと注意点
自宅の屋根をスレート屋根にするメリットといえば、比較的軽量で色数が多く、いろんなデザインの建物にもマッチしやすいといったことでしょう。そのため、スレートは広く普及しているのですが、一方で、注意しなければいけないことがあります。それは、定期的なメンテナンスが欠かせないことです。
おおよその目安では、スレート屋根の寿命は20年から25年といわれていますが、これは適切にメンテナンスを行なっている場合の寿命です。メンテナンスを怠ってしまった場合、寿命よりも早く葺き替え工事をせざるお得なくなってしまいます。
では、どのような状態やタイミングでスレート屋根のメンテナンスをすればよいのでしょう?今回はその見極め方についてお伝えします。
スレート屋根が劣化しているかの判断ポイント
スレートの表面は特殊な塗料で塗装することにより雨等の環境要因から内部を保護する作りになっています。雨や直射日光などで塗装は 経年劣化をしていくので、定期的に塗料の塗り替えが必要になってきます。
基本的には10年に1回程度、塗り替えを行うのが良いとされています。しかしながら、このタイミングはあくまでも目安で、住宅の周辺環境や条件によって、劣化のスピードやメンテナンスの時期が変わります 。まずは簡単にスレート屋根が劣化しているかのチェックポイントをご紹介します。
劣化しているかの判断ポイントは「屋根に色あせや色むらができていないか」にあります。
色あせや色むらは直射日光に含まれる紫外線によって色素が破壊されることで起こり、太陽光による熱も塗装の劣化を進めます。そのため当然ではありますが、日当たりが良過ぎるような場所では屋根は色あせしやすくなります。
これに加えて、酸性雨や潮風による塩害などがあると塗装の劣化はさらに早く進みます。このように環境によって劣化の進み具合が異なるので、スレート屋根のメンテナンスのサインは自分で見つけることが大切なのです。
実際どうすれば良い? スレート屋根のメンテナンス方法
今度は具体的にスレート屋根のメンテナンスの方法を見ていきましょう。
スレートはセメントが主成分ですが、セメント自体に防水性はないため、太陽光から受ける劣化によってスレート表面の塗装が剥がれてしまうと、セメントが水分を吸収してしまい、コケやカビが発生してしまいます。そのため、防水効果を継続させるには、10年に1回の割合で塗装によるメンテナンスを施す必要があります。
一般的な塗装業者に依頼する場合、工事期間は一週間~10日間程度かかります。塗装面の「洗浄」と「補修」を行った後、塗料の「下塗り」「中塗り」「上塗り」を行い、最後に塗料によって接着してしまった屋根材の継ぎ目を切り離す「縁切り」をして終了です。
料金相場は、足場の設置から縁切りまでを含めて約30万~50万円。これは耐用年数10年前後の「シリコン系塗料」を使用した際の相場ですので、15年以上長持ちする「フッ素系塗料」や「遮熱系塗料」と使うとその分料金もアップします。
塗装以外のメンテナンスにはどんな方法がある?
屋根の劣化が進行し、ひび割れや釘浮きなどの症状が出てくると、塗装によるメンテナンスでは対応できません。そんな時は、「カバー工法」をお勧めします。カバー工法とは、既存のスレート屋根の上からガルバリウム鋼板 などの金属屋根を重ねて、二重構造の屋根にするリフォーム工事です。
屋根材をまるごと取り換える「葺き替え」とは違い、カバー工法は既存の屋根をそのまま生かせるので、古い屋根材の解体作業や処分作業が不要です。その分工期を短縮でき、費用も抑えることができます。
ただ、既存の屋根材や下地が著しく劣化していると再利用ができなくなるため、葺き替え工事をする以外に残された道はありません。カバー工法でのリフォームを予定している方は、早めに屋根の現状を確認しておきましょう。
塗装メンテナンスの重要性を忘れずに
屋根の色あせ、色むらは劣化のサインといわれても、この時点では雨漏りなどは起こりません。だからといって、これを放置しておくと、塗装の膜が完全にはがれてしまい、スレートが雨水を吸収し乾燥することをくり返してもろくなり、反りやひび割れなどの症状を起こします。
こうなってしまっては、雨水が屋根の下地にも浸入して雨漏りや内部の腐食を起こす恐れがあり、塗装で回復させることはできません。屋根の葺き替えなど大がかりな工事が必要になります。だからこそ、早めのメンテナンスが重要なのです。
劣化の程度が色あせ・色むら、また塗装の一部がはがれるくらいであれば、多くの場合、洗浄と塗装だけで屋根の耐久性を回復させられます。また、適切な時期にこうしたメンテナンスを行うことが、スレート屋根の寿命を保つための大きなポイントになります。
それには、家のオーナー自らがこまめに屋根をチェックすることが欠かせません。新築や葺き替えから数年経ったわが家のスレート屋根に色あせや色むらがあれば、ぜひ屋根の専門業者に相談しましょう。
塗装がどれくらい保つのかは、環境に加えて塗料の種類によっても異なります。屋根用の塗料には、紫外線や酸性雨等への耐久性を高めたものもあります。屋根の塗り替えをすることになったら、立地環境に合わせた塗料選びについても、専門業者とよく相談してくださいね。