屋根工事前に知っておきたい!スレート屋根の種類と特徴
和風建築と洋風建築、どちらの住宅にもなじむ形状と高いデザイン性が多くの方に評価され、今や日本で普及率No.1と言われているのが「スレート屋根」です。陶器の瓦とも金属とも違うスレートとは、一体どのような素材なのでしょうか?特徴や種類、形状の違いなどを学びながら、選ばれ続けるその魅力を一緒に探っていきましょう。
スレート屋根とは?
スレート屋根の“スレート”とは、セメントと繊維材料を主原料とする厚さ5mm~6mmほどの薄い屋根材のことです。軽量で耐震性に優れており、シンプルなデザインと、豊富なカラー展開で、どんな住宅にも無理なくフィットするのが最大の魅力と言えるでしょう。他の屋根材と比べて廉価であり、瓦屋根と比べると施工料金はおおよそ半分とリーズナブルであることも高く評価されています。
一般的な住宅や工場、倉庫などさまざまな建物に使われていますが、劣化しやすく割れやすいという弱点もあるため、メンテナンスは必要不可欠になります。10年を目安 に塗装を行うことで、約20年~25年は持たせることができます。
スレート屋根にもいろいろある?
上記で説明したように、スレート屋根はさまざまな場所で使われています。そこで、「わが家の屋根はスレートだと思っていたら屋根業者にカラーベストだといわれたけど、どう違うの?」「東京駅の赤レンガ駅舎もスレート屋根だと聞いたがうちと同じもの?」といった疑問を持ったことはないでしょうか。
実は、ひと言にスレート屋根といっても、原材料の違いによっていくつか種類があるのです。今回は、ポピュラーな屋根材であるスレートの種類とその特徴についてお伝えします。
スレートの種類を知っておこう
屋根材のスレートは主に下記の4つに分類されます。
天然スレート
粘板岩と呼ばれる天然石を薄く板状に加工したもの。天然石の独特な風合いがあり、屋根材としては希少で最高級品になり価格も高額です。日本では、東京駅の丸の内駅舎などの歴史的な建築物に使われており、住宅向けにはあまり普及していません。
石綿スレート
セメントに石綿(アスベスト)を混ぜることで強度を持たせて成型したスレート。アスベストによる人体の健康への懸念から、2004年以降は製造・使用が禁止されています。アスベストは飛散した粉塵を吸い込むことで人体に害をもたらしますが、スレートに含まれるアスベストは固められているので、既に屋根材として施工された状態では心配はありません。
無石綿スレート
先ほど紹介した石綿スレートに代わる製品として開発されました。石綿の代わりにパルプやビニロンを混ぜて製造します。
セメント系スレート
セメントを主原料として板状に成型して作られます。セメントを含む割合が高く表面を着色することにより、無石綿スレートとは区別されています。いわゆるカラーベストやコロニアルは、いずれもこのセメント系スレートの1つで、本来はメーカーによる商標名です。
これらのうち、天然スレート以外のものを総じて人工(化粧)スレートと呼びます。耐用年数については、天然スレートは半永久、人工スレートは通常20年から25年といわれています。また、人工スレートは耐水性を維持するために10年を目安に塗り替えメンテナンスが必要です。
化粧スレート屋根の種類
天然スレートに対して人工スレートとも呼ばれている化粧スレートには、「平形」「波形」という2種類の形があります。
平形は、薄くて平らな板状のスレートです。カラーバリエーションが24色以上と豊富で、一般住宅から工場まで幅広い種類の建物の屋根として使われています。
波形は、断面の形状が波のようになっているスレートです。主に工場や倉庫などの面積の大きな屋根に採用されており、住宅ではほとんど見られません。現在流通している波形スレートは、波のピッチ(幅)が130mmの「大波」と63.5mmの「小波」。
大波は屋根材にも壁材にも使われますが、小波は壁材としてのみ使われているようです。
このように、ひとくちにスレート屋根と言ってもいろいろな種類があります。とはいえ、素人目にはスレートの詳しい判別はつきにくいものです。わが家の屋根材の種類がわからない場合は、家を建てた工務店もしくは屋根の専門業者などに確認しましょう。
もし、わが家の屋根材が石綿スレートだった場合の履き替え方法
2004年より前のスレート屋根はアスベスト(石綿)を含んでいる可能性があります。もし、製造年が不明の場合には専門業者による調査が必要になります。先述の通り、施工済みの状態ではアスベスト飛散の心配はありませんが、石綿スレートの葺き替え時には注意が必要です。既存のスレートの撤去時にアスベストが飛散する恐れがあるため、飛散防止の特別な処置や古いスレートの処分をしなければならず、工事費用も割高になります。
そこで検討をおすすめしたいのが、カバー工法です。これは、老朽化したスレートを撤去せずに、その上から軽いガルバリウム鋼板などの金属屋根を重ねて葺く工法で、撤去や処分の費用を抑えることができます。カバー工法が可能かどうかは屋根の下地の状態などによりますが、石綿スレートに限らず、スレート屋根の葺き替えを考えているなら検討されてみてはいかがでしょう。