今回は、これから迎える本格的な夏場に向けて、夏場の暑さの中でも住宅の快適性をあげてくれると言われる『遮断熱塗料』の特徴についてご紹介していきたいと思います。
近年では、屋根や外壁の塗装工事に採用される塗料が飛躍的な進化を遂げていると言われており、選択する塗料によって住宅内の快適性を大幅に改善することができるようになっているのです。
もちろん、高機能な塗料ほど、材料コストが高くなってしまいますので、塗装工事にかかる費用が高額になってしまします。
しかし、高機能な塗料は、丈夫な塗膜が形成されることから、一般的なシリコン塗料などと比較すれば耐用年数なども非常に長くなっているのです。したがって、施工時にかかるコストは割高になってしまうものの、中長期的な視点で見ると、決してコスト高というわけではないのです。
今回は、高機能といわれる塗料の中でも、年々その人気が高くなっている『断熱塗料』について、どのような特徴があり、何がメリットになるのかについてご紹介していきたいと思います。なお、塗料の中には『遮熱塗料』というものもあるのですが、一般の方の中には『断熱塗料=遮熱塗料』と考えている方も多いです。しかし、この考え方は間違っていますので、ここで両塗料の違いについてもご紹介しておきます。
断熱塗料と遮熱塗料は何が違う?
それではまず、外壁や屋根塗装工事で、近年人気が上昇している『遮熱塗料』と『断熱塗料』の違いについて簡単にご紹介しておきましょう。名称だけのイメージであれば、どちらも似たような機能を持った塗料に思えるのですが、実はそれぞれが持つ機能は全く異なるものなのです。したがって、両者の違いをよく理解せず、間違った塗料選びをしてしまうと、塗装工事後に「求めていた機能性ではなかった…」などと後悔してしまう結果になってしまいます。
以下にそれぞれの塗料の特徴をご紹介しておきますので、ぜひ覚えておきましょう。
断熱塗料 | 遮熱塗料 | |
---|---|---|
特徴 | ・熱伝導を抑える機能がある ・熱や冷気の侵入を防ぎ、室内の温度変化を抑える |
・光を反射して熱の発生を抑える ・外壁や屋根などが受ける熱の影響を減らし、室内の温度上昇を抑える |
耐用年数 | 15〜20年程度 | 10〜20年程度 |
施工費用 | ・屋根:約3,500〜4,000円/㎡ ・外壁:約2,400〜3,800円/㎡ |
・屋根:約2,300〜3,500円/㎡ ・外壁:約2,300〜2,800円/㎡ |
上記のように『断熱塗料』も『遮熱塗料』も、室内の温度上昇を抑え居室の快適性を向上させるという部分は同じです。しかし、「冬場の寒さ対策にもなるのか?」という部分が大きな違いになるのです。
遮熱塗料の場合、太陽光を反射して屋根表面などの温度上昇を防ぎ、熱が室内に伝わらないようにするための塗料です。つまり、夏場の暑さ対策には有効なのですが、冬場の寒さ対策には何の役にも立たないのです。一方、断熱塗料はというと「熱伝導を抑える」という機能を持っています。これは、外からの熱や冷気を防ぐだけでなく、室内の熱も外に逃げにくくするという効果があるのです。つまり、冬場でも室内の保温性が高くなり、快適な空間を維持してくれるということです。
皆さんが覚えておきたいのは、「遮熱塗料は、夏は涼しく快適な空間を作ってくれるが、冬は逆に室温が下がりやすくなって寒い空間になる可能性がある…」「断熱塗料は、夏は涼しく、冬は暖かい空間を実現できる」という塗料の特徴です。
断熱塗料のメリットとデメリット
『断熱塗料』と『遮熱塗料』の違いが分かったところで、実際に断熱塗料を採用した場合に得られるメリットと注意しておきたいデメリットをご紹介しておきます。
断熱塗料のメリット
まずは断熱塗料のメリット面からです。上述したように、「夏は涼しく冬は暖かい空間を作ってくれる」というのが断熱塗料の最大のメリットです。以下でメリット面についてもう少し詳しくご紹介しておきます。
- 居室の快適性をあげてくれる
断熱塗料は、外からの熱の影響を受けにくくするだけでなく、中の熱も逃げ無くしますので、夏でも冬でも室温を快適にしてくれるという機能があります。こういった特徴を持つことから、エアコンの稼働効率も向上し、光熱費削減も期待できます。 - 防音効果を期待できる
断熱塗装は、外部からの騒音や、室内からの音漏れも防いでくれるという機能があります。断熱塗料の塗膜は、隙間なく複数のセラミックで覆われているため、表面が厚くなっています。そのため、通常の塗料よりも効率よく音を反射することができ、防音性能の高い建物を実現してくれるのです。さらに、音の振動を小さくする効果もありますので、外部からの騒音を和らげてくれます。 - 結露を抑えられる
断熱塗料は、住宅の天敵である結露の防止が期待できます。結露は、温度変化が関係しており、外と中の温度差が大きいほど発生しやすくなります。断熱塗料を施せば、屋外と室内の温度差が少なくなりますので、結露の発生がおさえられます。
断熱塗料のデメリット
上記のようなメリットがたくさん存在する断熱塗料ですが、いくつか注意しておきたいポイントも存在します。現在、外壁や屋根の塗装工事をご検討中の方は、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 施工費が高くなる
断熱塗料の大きなデメリットと言えるのは、他の塗料などと比較して、材料価格が高くなっているため、塗装工事にかかるコストが割高になってしまうという点です。ただし、耐用年数が一般的な塗料よりも倍近く長くなるため、何度も再塗装することを考えれば非常に経済的だということも覚えておきましょう。 - 塗料の効果が実感できない場合も…
せっかくお金をかけたのに、断熱塗料の効果が実感できない…なんてケースもあるようです。居室の快適性に問題が生じてしまうのは、さまざまな要因があり、その全てを塗装工事で解決できるわけではないのです。また最近では、新築時に断熱塗料が使用されている住宅なども登場していますので、そういった方が断熱塗料を使用しても当然、効果を実感することはできません。一般的に、金属屋根の建物、屋根の下にリビングがある、もともとの断熱性が悪いなどと言った建物であれば、効果を実感しやすいと言われています。
まとめ
今回は、年々人気が高くなっていると言われる『断熱塗料』の特徴についてご紹介してきました。この記事でもご紹介したように、遮熱塗料は断熱塗料と同じ効果を持つと勘違いしている方が多いのですが、実は、断熱塗料はさらに高機能な塗料となっており、夏場の暑さ対策だけでなく、冬場の寒さ対策にも有効な建材なのです。
もちろん、高機能な塗料になりますので、一般的な塗料と比較すれば、材料単価がかなり割高になってしまいます。そのため、外壁塗装の見積書を貰った時には、一般的な塗料との価格差から、断熱塗料の採用に躊躇してしまう…という方も非常に多く見受けます。そもそも外壁塗装や屋根塗装は、住宅リフォームの中でも高額な部類に入りますので、施工に「いくらかかるのか?」ということが気になるのは当たり前です。しかし、塗料選びの際は、その場の価格だけに注目するのではなく、中長期的な視点でコスト計算するのがオススメです。
例えば、安価なウレタンやシリコン塗料を採用した場合、耐用年数が7年程度となります。断熱塗料は、15~20年程度ですので、耐用年数が倍以上も変わってきてしまうのです。つまり、一般的な安価な塗料を使用した場合、15年持たせるためには2回目の再塗装が必要になるということです。塗装工事には、塗料や施工費だけでなく、仮設足場を組み立てる費用なども必要になりますので、結果的に1度で15年以上持つ断熱塗料の方が安くつくなんてことになるのです。
近年の塗料は、それぞれが持つ機能がかなり違いますし、耐用年数なども違いますので、どれが自宅に最適なのか判断できない…なんて声をよく聞きます。どうしても塗料選びに困ってしまった場合には、お気軽にお問い合わせください。グラスビトウィーンでは、打ち合わせの段階から経験豊富な職人がお伺いいたしますので、お客様の要望やご予算に最適な塗料選びからご提案させていただいています。