突然ですが、屋根からの雨漏りをさせないためには、どの建材が重要かをご存知ですか?
瓦やスレートなどの「屋根の本体が雨水の侵入を防いでいる!」と思っていませんか?
答えは、ルーフィング(下葺き材)です。もちろん屋根材も防水の役割を持っていますが、不完全。
ルーフィングという屋根材の下に敷くシート状の“防水建材”があるから雨水の侵入が防げるのです。
ルーフィングシートとは屋根本体の下に敷く、「屋根の防水シート」のことです。
「下葺き材(したぶきざい)」ともよばれます。
その他、言葉を短くして「ルーフィング」とよんだり、
アスファルト製が多いため「アスファルトルーフィング」ともよんだりします。
ルーフィングシートは屋根工事の現場では必ず登場します。
しかし、屋根の下に敷くシート(目に見えない建材)なので、あまり重視されない傾向があります。
事前に何も説明を受けないまま建設会社や設計士が勝手に選んだシートをそのまま使用することがほとんどです。
しかし、このルーフィングシートは屋根本体と同じ、もしくは屋根本体以上にとても重要な建材です。
実際にルーフィングシートはたくさんの種類の商品が販売されています。
今回はルーフィングシートについてお話していきたいと思います。
■ ルーフィングが防水の“砦”
まず、簡単に屋根の構造をご説明します。
下から、垂木(屋根を形作る木材)→野地板(板状の木材)→ルーフィング(防水シート)→屋根材という順で重ねられています。
雨水は通常、屋根材の上を流れて雨どいに集まり、排水されます。しかし屋根材が劣化していたり、
激しい雨が降ったりすると屋根材の下にも雨水は入り込みます。ここで働くのがルーフィングです。
内側に入ってしまった雨水も、ルーフィングの上を流れて雨どいに集まるのできちんと排水されます。
ルーフィングは雨水の侵入を防ぐ“砦”なのです。
もし屋根からの雨漏りが起きたら、ルーフィングが破れてしまったり、剥がれたりしていると考えられます。
■ 完全業者まかせにしないで!
ルーフィングは重要な建材ですが、お客さまの目には見えません。なので、多くの業者はお客さまに説明をせずに勝手に選んで施工します。
中には、コストを抑えようと、品質の良くないものを使う業者もいます。
ぜひルーフィングの知識をつけて、工事のときには「どんなルーティングを使うのですか?」と業者に聞いてみましょう。
優良業者はお客さまの熱心な姿勢を嬉しく思いきちんと説明してくれるでしょう。
一方、悪徳業者は…慌ててルーフィングを替えるかもしれません!
■主なルーフィングとその特長
<アスファルトルーフィング>
アスファルトを染み込ませた板紙にアスファルトの層を重ねて作られます。
関東大震災の復興を機に広まったことからかわるように、安価ですが、品質はあまり高くありません。
<改質ゴムアスファルトルーフィング>
アスファルトルーフィングシートの改良版。設計はアスファルトルーフィングと同じですが
アスファルトのデメリットである耐久性の低さなどが改良されています。
<粘着層ルーフィング>
裏面が粘着シールになっています。穴をあけずにシートを貼ることができ、
隙間ができないので、より雨水の侵入を防げます。
<不織布ルーフィング>
繊維素材でできています。
破れにくく丈夫なので、耐久性があるだけでなく、職人の腕にあまり左右されずに施工できます。
<高分子系ルーフィング>
主成分は合成樹脂。耐久性に優れますが軽量という特長があります。
屋根の重さを気にするお客さまに最適です。
<遮熱ルーフィング>
表面にあるアルミ反射層で遮熱します。屋根材とルーフィングの間に隙間がないと効果が発揮されないため、
コロニアルやガルバリウム鋼板、瓦棒屋根との相性は良くありません。
<透湿防水ルーフィング>
屋根に透湿効果がない場合、屋根裏にこもった湿気が野地板を傷めてダメージが広がるという
専門家の意見を受けて開発されました。
「ルーフィング」といってもこんなにもたくさんの種類があります。
驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ルーフィングは英語で「roofing」になるそうです。
本当の成り立ちは不明ですが、屋根roofに進行形のingがついていると考えてみると、
“ルーフィングこそが屋根”といった意味から出来た単語なのかなと私は感じました。
そして改めて、10年20年と家を守ってくれる大切な存在だなと思えました。みなさんは、どうでしょうか?