『ルーフィング』は屋根を作る上では非常に重要な材料であり、日々風雨にさらされる屋根が雨漏りしないのはルーフィングのおかげと言っても過言ではありません。
しかし『ルーフィング』は瓦やスレート材・ガルバリウム鋼板等の下に施工されているもので表には見えないので一般の人にはあまり知られていない部材でもあります。
そこで今回は、『ルーフィング』の「目的」や「種類」等の基礎知識をご紹介したいと思います。
そもそも『ルーフィング』って何?
それではまず、『ルーフィング』って何?見たことないけどどこの部分なの?という疑問にお答えしたいと思います。『ルーフィング』とは、瓦やスレート、ガルバリウム鋼板など屋根材の下に敷くシート状の防水建材の事です。『ルーフィング』には様々な種類が存在していますが、現在、最も普及しているのは『アスファルトルーフィング』と呼ばれるもので、シートにアスファルトを染み込ませて防水性を高めています。因みに『ルーフィング』の語源は、屋根の英語訳「roof」に「ing」をつけて「roofing」だそうです。
ルーフィングの目的
『ルーフィング』を屋根に敷く目的は上述の通り『屋根の防水』につきます。一般の方であれば屋根の防水は瓦やスレート、ガルバリウム鋼板などの目に見える屋根材が行っていると思うかもしれませんが実際にはそれは間違いです。
もちろん屋根材もある程度の防水機能は持っており、小雨程度の雨であれば屋根材の上を通って雨樋まで雨水は流れていきます。しかし、大雨や暴風雨の時などには屋根材の下に雨水が侵入することは頻繁にあります。その場合、『ルーフィング』は屋根材で防ぎきれなかった雨水をそこで防ぎ、屋根材の下を通して軒先まで排出する働きを持っているのです。屋根材はあくまでも建物の見栄えを良くするための化粧材であるという事を忘れないようにしましょう。
『ルーフィング』の種類
一言にルーフィングと言っても種類はもちろんあります。ここでは現在多く普及している2種類のルーフィングの特徴をご紹介します。
アスファルトルーフィング
ほとんどの新築工事にも使用されるのがこの「アスファルトルーフィング」です。アスファルトルーフィングは「アスファルト」をシートに染み込ませて両面に鉱物質の粉末を付着させた防水シートです。アスファルトと聞けば道路を思い浮かべる方が多いと思います。実は正解で道路に使用されているアスファルトと同様の物が使われています。アスファルトルーフィングは施工後約10年で耐久性が大幅に低下します。
改質アスファルトルーフィング
別名で「ゴム・アスファルトルーフィング」「ゴムアス」等と呼ばれるルーフィングで、その名前の通りアスファルトに合成ゴムや合成樹脂を混ぜたものです。改質アスファルトルーフィングは合成ゴムなどを混ぜることによって、対流動性・耐摩耗性・耐剥離性・付着性・たわみ追従性などの性能が向上しています。その為、ルーフィングを固定する為に打ち込むタッカー(ホッチキスのようなもの)穴等からの浸水も最小限に留めることができます。材料費は『改質アスファルトルーフィング』の方が高価ですが、寿命が20~30年と長くなります。
当社が使用してるルーフィングになります。
こちらが他のルーフィングと違って耐久性に優れています。
30年前の屋根の葺き替え時に、当社が屋根を剥がして実際にきれいに残っていた唯一のルーフィングになります。
実際に工事をしたからこそわかる高耐久防水シートです。
『ルーフィング』施工の注意点
今回は屋根の雨漏りから住まいを守ってくれる『ルーフィング』の基礎知識についてご紹介しました。上述した通り、屋根の雨漏りから最終的に建物を守っているのは『ルーフィング』と言われる建材となります。その為ルーフィングの施工については最新の注意を払って行う必要があります。施工時に霧雨や小雨などの弱い雨の場合であればルーフィングの施工を行っても基本的に問題はありませんが、強い雨の場合は施工中にルーフィングの隙間から雨水が侵入してしまい野地板を濡らしてしまう可能性が高くなります。その場合ルーフィングは水を通さない材質の為、野地板の水分が逃げず、野地板の腐食をまねく恐れが高くなります。近年、天気予報が発展していますし、強い雨ふりの予報と施工が重なっていたら施工業者にきちんと確認しましょう。もちろん施工中のルーフィングに穴あきや隙間を見つけた場合はすぐに現場責任者に確認するようにしましょう。そのまま工事が進んでしまうと屋根材の施工も終わり補修も難しくなります。