「瓦が葺いてある屋根を、ディーズルーフィングへ葺き替えはできるのか?」
「瓦屋根なら瓦屋根にしか、葺き替えできないのか?」
「屋根材を変えることに、問題はないのか?」
ご自宅の屋根の葺き替えを検討されている方の中で、ガルバリウム屋根も気になっている方が多いのではないでしょうか。
この記事では、気になるこれらの疑問を、年間屋根施工件数300件を超える株式会社グラスビトウィーンが解消します。
ディーズルーフィング屋根にした場合のメリット・デメリットも併せて解説しますので、最後までご覧ください。
瓦屋根からディーズルーフィング屋根への葺き替えはできる
最初に結論として、瓦屋根からディーズルーフィング屋根への葺き替えは可能です。
「今の屋根材が瓦なら、瓦で葺き替えしなくて問題が発生しないのか?」という疑問を持たれる方もおられますが、なぜ問題がないのか解説します。
屋根材を変更することに問題なし
瓦屋根の住宅は、葺き替えも瓦で行わないといけない、という理由はありません。
法律上も、屋根材を瓦からガルバリウムに変更することに制限はなく、問題はありません。防火や耐震に関する問題もありません。
瓦屋根から葺き替えをする際は、
- 既存の瓦と土を解体&撤去
- 木下地を施工(不陸調整:表面の凹凸をならす作業)
- 野地板(屋根材を敷くための下地となる木板材)を施工
- 防水シートを施工
- ディーズルーフィング屋根材を施工
といった手順で施工を行います。
このように、屋根材だけでなく、その下地までイチからやり直します。
つまり、前に使用していた屋根材の影響が残らないため、瓦からガルバリウムへ変更することに問題はないのです。
勾配・屋根形状に問題なし
屋根材には、それぞれ適切な「勾配」が決められています。
- 瓦屋根:4寸勾配(横10に対して、高さ4の勾配)以上
- ガルバリウム屋根:1寸勾配(横10に対して、高さ1の勾配)以上
※平葺き・横葺きの場合は2.5~3寸勾配以上。商品による。
勾配に決まりがある理由は、雨漏りが発生しないようにするためです。雨水の流れや水切れの関係から屋根材や葺き方によって適切な勾配が決められています。
瓦屋根とディーズルーフィング屋根を比較した場合、瓦屋根の方が、より急勾配が必要となります。
つまり、瓦屋根からディーズルーフィング屋根に葺き替えても、勾配は十分足りていることになるため、雨漏りの心配はありません。
また屋根の形状(片流れ屋根、切妻屋根、寄棟屋根、入母屋屋根など)は、様々な形があります。
瓦に比べガルバリウムのほうが、より複雑な屋根形状にも対応できるため、瓦で問題がなかった屋根形状には、ガルバリウムでも十分対応できるということになります。
建物の構造に問題なし
建物の構造、つまり、
- 基礎
- 土台
- 柱
- 梁
に対して、負担を掛ける要因は重量です。
重量が軽くなると、建物の構造に対する負担は減ります。
建物の構造計算(建物の構造が安全かどうかを計算するもの)でも特に重量がある物の1つとして挙げられるのは、屋根です。
瓦屋根と、ガルバリウムなど金属屋根では構造計算の方法が異なるほどです。
つまり屋根が軽ければ、その分建物の構造への影響は軽減されます。
- 瓦屋根:約42kg/平米
- ディーズルーフィング屋根:約7kg/平米
このように瓦屋根に比べガルバリウム屋根は1/8以下の重さです。
そのため、瓦屋根からディーズルーフィング屋根に葺き替えをした場合、建物の構造に問題は発生しません。
デザインに問題なし
「和風の住宅なので金属屋根は安っぽく見えてしまうのでは」と懸念される方もおられます。
見た目は、その方の好みによるところもあるので一概には言い切れませんが、当社のお客様で実際に瓦屋根からガルバリウム屋根に葺き替えをされたお客様の中で、見た目に不満を持たれた方はおられません。
ディーズルーフィング屋根の葺き方にはいくつか種類があります。好みに合わせて葺き方を選択することも可能です。
一部の条件が当てはまる場合は注意
ちなみに、雪が多く積もる北海道や東北地方の住宅には金属屋根が多く使われています。
適切な葺き方を選択すると、瓦屋根よりジンカリウ屋根のほうが、降雪地帯に向いていると言えます。
- 雪による破損がしにくい
- 吸水率が低い
- 軽量である
といった点が、向いている理由です。
瓦屋根からジンカリウ屋根へ葺き替えるメリット
瓦屋根からジンカリウ屋根に葺き替えると
- 耐震性アップ
- 建物の構造への負担減
- 断熱性の向上
- 地震時のひび割れなし
- 表面にコケが発生しない
といった、様々なメリットが生まれます。理由を含めた解説をしていきます。
耐震性アップ
地震時は、揺れの強さによっては柱や梁を破損し、建物が崩壊することがあります。
柱や梁が破損する原因は、建物の重量による影響が柱や梁の強度を上回るためです。
先述のように瓦屋根に比べガルバリウム屋根は1/8以下の重さです。
つまり、屋根が軽くなると耐震性はアップすることになります。
建物の構造への負担減
地震が発生しなくとも、建物の重量は柱、梁、土台、基礎といった建物の構造に負担を与え続けます。
特に重量のある屋根を軽くすることは、柱、梁、土台、基礎への負担を軽減し、建物の寿命を長くすることに繋がります。
断熱性の向上
ガルバリウム屋根材の中には、断熱材一体型のガルバリウム屋根材があります。
断熱材のないガルバリウム屋根材の場合は、瓦屋根に対して断熱性は劣ります。
しかし、断熱材一体型のガルバリウム屋根材の場合は、瓦より断熱性が勝ります。
屋根材 | 熱貫流率 |
---|---|
ジンカリウム屋根材:ディーズルーフィング「ディプロマットスター」 | 1.33 |
瓦 | 1.96 |
化粧スレート | 2.22 |
断熱材無しの金属屋根 | 6.64 |
地震時のひび割れなし
瓦は地震時にひび割れが発生することの多い素材です。ひび割れは雨漏りの原因になります。
一方、ジンカリウ屋根材は
- マグネシウム
- アルミニウム
- 亜鉛
の合金でメッキされた鋼板です。
主原料が鉄であるため、鉄の性質である粘り強さを持った素材です。
そのため、屋根が地震によって揺れた際にも割れることなく、柔軟に揺れを吸収することができるのです。
ひび割れを起こさないため、地震が発生した際に瓦と比べて雨漏りが発生しにくくなります。
表面にコケが発生しない
瓦は表面の水切れが悪くなったり、日当たりが悪い部分で土などが堆積すると、コケが生えやすい素材です。
一方、ガルバリウムは表面に凹凸が少なく、水を吸わない素材であるため、コケは生えません。
屋根にコケが生えると、見た目が悪いだけでなく、屋根が劣化している可能性があります。
コケが生えているということは、屋根の水はけが悪くなっているというサインですので、対処が必要です。
瓦屋根からジンカリウ屋根へ葺き替えるデメリット
メリットがたくさんある、ガルバリウムへの葺き替えですが、デメリットもいくつか存在します。
沿岸部には不向き
先述したように、沿岸部は潮風の影響で、ジンカリウ屋根材に腐食が発生する懸念があるため、適しません。
製品によって海までの距離は異なりますが、ディーズルーフィングの「ディプロマットスター」というジンカリウ屋根材は、「海岸線沿いでも可能」とされています。
製品によっては雨音が気になる
ジンカリウ屋根材には
- 断熱材と一体成型された製品
- 断熱材と一体成型されていない製品
の2種類があります。
断熱材と一体形成された製品であれば、遮音性能も高く雨音は気になりません。
しかし、断熱材と一体成形されていない製品であれば、雨音は瓦屋根より大きくなってしまいます。
瓦よりも寿命が短い
瓦が勝る点として、寿命の長さがあります。
瓦の寿命は約50年と言われています。
一方、ジンカリウ屋根材の寿命は、おおよそ30年以上と言われているため、瓦に葺き替えるよりは寿命は短くなってしまいます。
以上、瓦屋根からジンカリウ屋根へ葺き替えるメリットとデメリットを紹介しました。
ジンカリウ屋根にもデメリットはあるものの、総合的にはジンカリウ屋根のメリットのほうが大きいと感じる方が多いようです。