屋根工事は、住宅のリフォーム工事の中でも特に高額になる部類の工事です。
住まれている方が、屋根の上に登ることなど一度もないことが大半で、屋根の状況は特に分かりにくいものです。
不安を持ちやすい工事となるためできるだけ心配事を減らして発注したいところです。
そのためにも、このコラムで紹介する、数々の質問を利用して懸念を払拭しましょう。
そして、いくつかの業者を比較することでさらに心配を減らせます。
年間屋根施工件数200件を超えるグラスビトウィーンがお勧めする質問項目を参考に、ぜひよい屋根業者選びをなさってください。
今後発生するであろう懸念を契約前に質問しておくことが安心につながる
工事の流れを、次の4つの段階に分けて、それぞれの段階で発生するであろう懸念と、すべき質問をご紹介します。
- 見積・契約段階に発生する懸念
- 工事前に発生する懸念
- 工事中に発生する懸念
- 工事後に発生する懸念
あとになって、「これを先に質問しておけばよかった…」といった後悔がないよう、それぞれの段階で、どのような懸念が発生しそうか、あらかじめ想像しておくことが大切です。
しかし、通常、屋根工事を依頼することは人生において、そう何度も経験することがないため、何が起こるのか想像がつかないと思います。
次に挙げるそれぞれの質問を、ぜひ業者選定しているタイミング(=契約前)にしてみてください。
屋根工事見積・契約段階で発生する懸念と、業者にすべき質問
まず契約前、契約時の段階で発生することが多い懸念について、どのような質問をするのがよいのか、ご紹介します。
見積前に現場調査をするか?
まれではありますが、業者によっては電話やメールだけでお客様とやりとりし、最終的な見積を作成する業者があります。
当然屋根の状況をプロの目でチェックしないことには正確な見積は作成できません。
屋根の状態を見ずに見積をするということは
- 余裕をみた高額な見積もりになっている
- 追加費用を後から請求される
可能性があります。
相見積に対応してくれるか?
工事契約を急かして相見積をさせない業者や、相見積なら工事を受けないという業者は見積に自信がない可能性があります。
逆に、価格や質に自信がある業者は、お客様により納得して契約を結んでいただくため、相見積をお勧めしていることがよくあります。
雨漏りの原因は何か?
雨漏りがすでに発生している場合、
- 何が原因なのか
- 今回の工事で雨漏りは解消するのか
といった懸念があります。
現場調査の段階で、屋根に登ったり、ドローンで状況をチェックして、原因をみつけようとしてくれているか、は判断の目安となります。
ただし雨漏りの原因には様々な要因があるため、「100%原因はこれだ」と言い切れないこともあります。
原因を追及するには、経験豊富な屋根修理の専門家が現場を見ることが大切です。そのためにも屋根修理に詳しい屋根職人や屋根の専門業者の施工管理者が現場調査を行う必要があります。
そして、最終的に「雨漏りの原因は●●と思われます。理由は▲▲だからです」という説明をはっきりしてくれる業者を選ぶと良いでしょう。
雨漏りは本当に直るのか?
先述のように、雨漏りの原因は100%解明できない場合もあります。そのため絶対に直るということは、経験豊富な業者でもあまり断言できません。
施工技術の良し悪しは、その会社の実績、事例の多さ、Googleなどの口コミの良さを参考にすることが大切です。
どのような工法を選択するのか?それを選ぶ理由は何か?
現場調査を実施し、当日もしくは後日、見積を提出してもらいます。
見積を説明してもらう際に質問するべきは、どの工法を選択しているのか、という点です。
屋根修理の工法は大きく分けて次の4つがあります。
- 部分補修工事:傷んだ部分だけを補修する工法
- 塗り替え工事:既存の屋根の表面に塗装を施す工法
- カバー工法:既存の屋根の上に、新しい屋根材を施工する工法
- 葺き替え工事:既存の屋根材をすべて撤去し、新しい屋根材を施工する工法
1から4の順に費用は高くなります。
また1から4の順に現状の屋根の傷みは激しいと判断できます。
それぞれの工事にメリットとデメリットが存在しますが、その屋根の状況に合わせた適切な選択が必要となります。ただし既存の屋根材によっては、葺き替えしか施工できない場合もあるため選択肢がない場合もあります。
理由なく一番高価な葺き替え工事を勧めるのは、根拠が乏しいと言えます。それぞれの工法のメリットとデメリットを解説してくれる業者がよいでしょう。
なぜその屋根材を使うのか?
屋根の材料にはいくつかの種類があります。
古くから使われてきた材料には、
- 和瓦
- セメント瓦
- スレート(アスベストあり)
- トタン
といったものがあります。
近年は
- ガルバリウム鋼板
- 軽量セメント瓦
- スレート(アスベストなし)
といった屋根材が主流です。
価格、耐久性、軽さ、見た目、既存の屋根材との関係、屋根の形状などの条件によって、選択するべき屋根材が異なります。
それぞれにメリットデメリットがありますので、なぜその屋根材を使うのかを質問し、納得のいく屋根材を選択することが大切です。
見積項目を解説してもらう
見積の内訳がしっかり記載されており、それぞれの項目に対して明確な解説があるかどうかを確認しましょう。
例えば「屋根葺き替え工事 一式 〇〇〇万円」というような、何にどれだけの費用がかかっているのか分からないような内訳だけの見積では、何をしてくれるのかが不明瞭です。
何を行うのかを約束されていない状態で工事を依頼するのは不安が残ります。
見積の項目の多くは、数量と単位、単価が記載されているはずです。それらの記載がなく、〇〇一式という項目が多い場合、適切な値段が計算されていない懸念もあります。
実際の屋根の面積と見積書に記載された面積にずれがないかもチェックしましょう。単純計算でも大幅にずれているのではと感じる場合は、質問してみましょう。
いつ施工してくれるのか?
台風や地震で屋根の被害が広範囲に広がる大規模災害時は、多くの方が屋根修理を依頼するため、半年以上の待ち時間が発生する場合もあります。
雨漏りが発生している場合は、応急処置だけでもしてもらうほうが安心です。
そのような災害が発生していない時であれば、近日中に対応してくれるところが理想です。
ローン支払いは可能か?
冒頭でもお伝えしたように、屋根工事は住宅のリフォーム工事の中でも高額になる部類の工事です。
場合によってはローンを組みたいと考える方もおられます。ローンを組みたい場合は、ローンでの支払いは可能か、条件はどうか、など質問してみましょう。
支払いはどのようになっているか?
屋根工事の場合、契約時に半金、引き渡し後に残金を支払うのが一般的な支払い方法です。
契約時に全額支払う契約は一般的ではないため、そのような業者には注意が必要です。
施工する職人は、自社の職人か?
屋根工事の質は、施工方法や材料によるものもありますが、施工する職人の技術によって一番大きな差が生まれます。
自社に職人をかかえず、下請けに丸投げの業者もありますが、技術に懸念が残ります。
またそういった場合、
- 施工の管理が甘くなる可能性
- マージンが発生し、費用が高くなる可能性
があります。
屋根専門の業者の場合、自社で多くの職人をかかえています。
屋根工事を専門とする熟練の職人を多くかかえているため、工事ごとに職人を集める会社と比べ、施工の質が高くなります。
また、自社の職人のため、教育にも力を入れている業者もあります。
屋根工事前に発生する懸念と、業者に申し込む前にする質問
次に、契約後の工事開始前の段階で発生することが多い懸念について、どのような質問をするのがよいのか、ご紹介します。
ご近所への挨拶を行うか?
お施主様にとって、ご近所との関係が良好であることはとても大切です。
屋根工事は、屋外での工事となるため、特に騒音や埃の発生が気になります。極力注意して施工を実施したとしても、どうしても発生してしまうため、ご近所の方のご理解が不可欠となります。
そのためにも、工事の前に、工事業者によるご近所へのご挨拶、工事の説明は特に大切となります。
ご近所とのトラブルは、この挨拶の有無によって大きく変わります。
工事スケジュールはどのようになっているか?
基本的に室内に入って行う工事は発生しません。しかし工事内容によっては、お客様に立ち合いしていただく必要が発生します。
そのため、いつからいつまでの工事となるのか、あらかじめスケジュールを工事業者と調整しておくことが大切です。
ただし屋根工事は、雨天の場合はできない可能性が高いため、予定通りに工事が進まない可能性はあります。
ちなみに工事の期間は、一般的には1〜10日間が目安です。まれではありますが、工事の内容によっては1ヶ月程度の期間が必要になる場合もあります。
屋根工事中に発生する懸念と、業者に申し込む前にする質問
続いて、工事中の段階で発生することが多い懸念について、どのような質問をするのがよいのか、ご紹介します。
職人さんが家の中に入るのか?
屋根工事は、屋外に足場を組んで実施します。そのため基本的には室内に入って作業することはありません。ただし立地や建物の形状によっては室内から出入りが必要な場合もあります。
また、職人さんが家のトイレを使うことは通常ありませんが、念のため確認しておきましょう。まれに勝手に敷地内で用を足すような業者もありますので注意が必要です。
もちろん工事期間中であっても、ご自宅に住んでいただけます。
路上駐車しないか?
資材や工具の搬入・搬出が、工事には必ず発生するため、車両が敷地に横づけできる場合は、路上に一時的に停めることになります。
しかしそれ以外の時間帯は、近隣のコインパーキングなど車両を停めることが一般的です。路上駐車は、近隣への迷惑にもなりますので、配慮が必要です。
現場で喫煙しないか?
喫煙は、においの問題や火災の懸念があるため現場で行わないことが原則です。
また、近隣への迷惑にもなりますので、現場で喫煙しないかを確認しましょう。
騒音に対する配慮はどうするか?
屋根工事は、屋外で行うため、どうしても発生してしまう騒音があります。
工事期間中ずっと大きな音が出るわけではありませんが、特にいつ頃大きな音が出るのかは工事スケジュールによってあらかじめ把握できます。
先述した工事スケジュールやご近所への挨拶と関連しますが、いつ大きな音が発生する予定なのか、案内してもらうように伝えましょう。
安全対策はどのように行うのか?
業者を判断する一つの目安として、足場工事があるかないか、が挙げられます。
高さ2m以上の屋根の上で作業する際は足場の設置が労働安全衛生法で義務付けられています。
材料や工具の落下による怪我、職人の落下による事故など、足場がない現場での施工は非常に危険が伴います。安全を考える業者であれば当然足場を設置して施工します。
屋根工事後に発生する懸念と、業者に申し込む前にする質問
最後に、工事後の段階で発生することが多い懸念について、どのような質問をするのがよいのか、ご紹介します。
追加費用が発生しないか?
屋根修理の専門業者であれば、屋根の状況を見た時点で、どういった問題があるのか、おおよそ把握できます。
見積もり段階で金額が確定できるため、追加費用が発生することはありません。
契約時の見積金額より増える可能性があると説明する業者は、
- 屋根工事に関する経験や知識が乏しい
- 最初から追加費用を請求するつもりでいる
といった懸念があります。大きなトラブルになる可能性があるため、依頼しないことが賢明です。
現場の清掃はするのか?
現場では毎日廃棄物や埃が発生します。工事終了時間に毎日掃除しないと、自宅の敷地だけでなく現場周辺は埃だらけになり、近隣にも大きな迷惑をかけてしまいます。
そういったトラブルが発生しないよう、毎日掃除することを約束してくれるかどうかも確認しておく必要があります。
工事の写真は貰えるのか?
ご自宅の屋根をお客様がご覧になることは、通常の生活においてありません。そのため工事業者が実際どのような工事をしてくれたのか確認できません。その点が他の部分のリフォーム工事と異なる点です。
そのため、工事前、工事中、工事完了時点での各工程の写真を業者に見せてもらう必要があります。
工事完了時点だけの写真の場合、元々どういう状態だったのか、屋根の下地がどうなのか、など表面の仕上げ材以外の確認ができないため、各工程の写真を見せてもらうことが大切です。
当社グラスビトウィーンは工事前、工事中、工事完了ごとの各工程時に写真を撮影し、お客様にお渡しします。「御見積書通りの商品を使用しているのか?」「釘、ビスの取り付けピッチはどうなっているか?」など、後でチェックできない場所だからこそ、写真で確認いただける体制をとっています。
万一工事直後に不具合が出た場合、費用内で対処してくれるのか?
いい加減な施工をされて、直後から不具合が発生するなどといったトラブルがないよう、この質問をしておくことが大切です。
契約書にも保障の範囲と期間が記載されているはずですので、チェックしておきましょう。