この記事ではルーフィングの役割や耐用年数、メンテナンス方法についてご紹介しています。
屋根から雨漏りさせないためにルーフィングが必要
ルーフィングは「防水シート」や「下葺き材(したぶきざい)」とも呼ばれるシート状の建材で、雨漏りを防ぐ役割があります。
屋根は上から順に、次の建材で構成されています。
・屋根材
・ルーフィング
・野地板
雨水は屋根を伝って排水されますが、屋根材と屋根材のあいだには隙間があり、その下にも雨水が通るためルーフィングが貼られているのです。ルーフィングは野地板に雨水がしみこむのを防ぎ、雨漏りから住宅を守る重要な役割を果たしています。
不具合があれば、野地板から天井へと雨水が染み込むことで雨漏りが発生するでしょう。ルーフィングも経年劣化によって性能が落ちるため、耐用年数に合わせて定期的にメンテナンスを行うことが必要です。
新築時から10年ほど経った家は、ハウスメーカーによる雨漏りに関する保証が切れていることも。その後、雨漏りによる建物被害が出たとしても自己負担となるため、自ら気を配ることが大切です。
ルーフィングの種類と耐用年数は?メリット・デメリット
ルーフィングといっても様々な種類の商品があり、それぞれ耐用年数が異なります。メリット・デメリットと合わせて特徴をおさえましょう。
アスファルトルーフィング
アスファルトを厚みのある紙に添加して作られています。耐用年数は10~15年ほどで、こまめなメンテナンスが必要ですが、初期費用は抑えられるでしょう。安価なため、ローコスト住宅に良く使用される傾向があります。
耐用年数:約10~15年
メリット :最も安価
デメリット:耐久性が低く、ランニングコストがかかる
改質アスファルトルーフィング
より耐久性を高めるために、アスファルトルーフィングが改良されました。アスファルトルーフィングと同じく、よく使われています。
耐用年数:約20~30年
メリット :耐久性が高い
デメリット:アスファルトの品質により価格が変わる、湿気が溜まりやすい透湿防水ルーフィング
通気性があるため、湿気による野地板の腐食を引き起こしにくい特徴があります。普及率は低く高価になりますが、耐久性の高い瓦屋根などと組み合わせることで、屋根のメンテナンスの手間を大きく減らせるでしょう。性能が良いため、高気密高断熱の住宅で多く使用されています。
耐用年数:約50年
メリット :通気性が高く、耐久性がある
デメリット:高価である
遮熱型透湿ルーフィング
屋根材からの輻射熱を反射させ、野地板の温度上昇を抑えます。特に夏場、屋根裏には熱がこもりやすく、ロフトの暑さ対策に有効です。冬場も室内の暖かい空気を逃さず、省エネ効果も見込めます。
耐用年数 :約50年
メリット :遮熱性能を備え、住宅の温度上昇を抑える
デメリット:高価である
粘着層付きルーフィング
貼付け面が粘着シートになっています。タッカーで留める必要がないため、漏水リスクを低減できるでしょう。貼り直し可能なタイプもあり、急勾配であったり施工が難しい形状の屋根には適しています。
耐用年数:約30年
メリット :施工性が良く、止水性が高い
デメリット:高価で、湿気を逃がしにくい
不織布ルーフィング
布でつくられている高級なルーフィングで、丈夫で破れにくくい特徴があります。柔軟性に優れるため、施工する下地の形状に合わせやすいでしょう。
耐用年数:約30年
メリット :柔軟性がある 温度変化で伸縮しづらい
デメリット:高価
ルーフィングのメンテナンス時期や方法は?
ルーフィングは普段目につくことがない建材のため「劣化に気がついたのは雨漏りが発生してから」というケースも少なくありません。ルーフィングの耐用年数にあわせたメンテナンスが必要です。屋根のメンテナンスは大がかりな作業となるため、ルーフィングだけでなく屋根全体のメンテナンスと合わせて検討を行いましょう。
ルーフィングのメンテナンス目安時期
屋根材ごとにメンテナンスの時期をまとめました。目安時期に関わらず、劣化の症状がみられ不安を感じる場合には早めのメンテナンスを行いましょう。
①スレート屋根の場合
スレート屋根は10~15年ほどでメンテナンスが必要となります。あわせてルーフィングの状態を確認できるとよいでしょう。屋根の状態に合わせて、塗装・カバー工法・葺き替えなどのメンテナンス方法が決まります。
②ガルバリウム屋根の場合
15~20年でメンテナンスが必要です。スレート屋根と同様に、ルーフィングの劣化具合を確認しておきましょう。
③瓦屋根の場合
耐久性の高い瓦であれば50~100年ほど使用できるとされていますが、ルーフィングの耐用年数はそれほど長くありません。ルーフィングの耐用年数に合わせてメンテナンスを行いましょう。「葺き直し」と呼ばれる方法で、下地は新しくする一方、瓦屋根はそのまま使用できます。
自宅にどのルーフィングが使われているかわからない場合には、新築時から10~15年で1度、専門業者に現状を調査してもらえると安心です。
ルーフィングのメンテナンス方法や注意点
メンテナンスは屋根修理の専門業者へ依頼しましょう。雨漏りの起きやすい部分には特に丁寧な作業が必要となり、専門業者の確かな技術でメンテナンスを行えば安心です。
・タッカー留め
タッカーと呼ばれる建築用のホチキスのような道具を使用します。傾斜面に直角に打つなど、野地板にきちんと固定する技術が必要です。この時、シートが破れてしまうと雨漏りの原因となります。
・粘着層付きルーフィングの使用
ルーフィングの裏面が粘着面となっており、タッカーで穴をあけずに固定できます。ただし、綺麗に張り付けるためには数人で作業する必要があるでしょう。
・雨天時の注意点
ルーフィングのメンテナンス施工時には、野地板や柱がむき出しの状態となり、雨天時に濡れてしまう恐れがあります。少雨では問題のない場合がほとんどですが、大雨の際には対策が必要です。
屋根において、ルーフィングには雨漏りを防ぐ大切な役割があります。耐用年数が経過していればトラブルの原因にもなりかねません。
現地調査や見積もりだけでも無料で行える専門業者もあるので、雨漏りの心配など、ご自宅の屋根で気になる点があれば、まずは相談してみてはいかがでしょうか。
実績があり信頼できる専門業者へ相談することで、地域の気候や住宅に合った適切なルーフィングを選びメンテナンスができるでしょう。