「タスペーサーって何ですか?」
「どういう意味を意味・役割を持つもの?」
「本当に屋根にも必要なのですか?」
タスペーサーなんて普段の生活で使うことは無いですから聞き馴染みがないのも当然です。
ただ実は、屋根塗装を行う予定の方には知っておいてほしい大切なものです。
タスペーサーとは
雨漏りを防ぐ縁切り部材
タスペーサーとは、屋根材と屋根材との間に隙間を作り雨漏れを防ぐ「縁切り部材」です。
「縁切り」とは、“屋根材と屋根材の間に隙間を作る作業”のことです。
新築時、屋根と屋根の間には隙間があり、屋根に降り注いだ雨もその隙間から外に流れていきます。
ただし屋根を塗装すると、屋根の縁がくっついてしまい、水がはける道が塞がってしまいます。
この状態を放っておくと屋根の内部に水が溜まり、雨漏りや内部結露を起こす危険性が高まります。
そこで昔から「縁切り」という作業を塗装後に行なっていました。
従来のやり方では「塗膜カッター」というものを使い、塗装が完了した後に手作業でくっついた塗膜を切っていました。
しかし、この方法は時間もかかり、さらに結局塗膜がくっついてしまうことも。
そこで考案され製造されたのが「タスペーサー」です。
タスペーサーは屋根材同士の間に挿入するだけで、①塗装後も隙間を確保でき、②時間も短縮され、③見た目も気にならずに縁切りをする事が出来ます。
今では通常に使用される様になってきてはいるものの、昔からの職人や知識のない業者ではいまだに取り扱っていない事もあります。
屋根塗装の際には、タスペーサーを使って縁切りをしてくれるか確認すると良いでしょう。
タスペーサーが必要な屋根
入れるべきは「スレート屋根」
タスペーサーの挿入が必要なのは基本的にスレート屋根です。
スレート屋根は、薄い屋根材で塗装によって屋根同士がくっつきやすくなるのでタスペーサーが必ず必要になります。
スレート屋根でもタスペーサーが施工できないケースがあります。
屋根の傾斜が緩すぎる
屋根の傾斜が3寸勾配(17度)未満の平らに近い屋根の場合は使用できません。
家の図面をお持ちの方は以下の箇所を確認してください。
3寸未満の場合は、塗膜カッターでの縁切りが必要です。
タスペーサーが使用できなくても縁切りは必ず行いましょう。
屋根材が反っている
屋根が劣化で反りあがり、3~4㎜以上の隙間が空いていた場合はタスペーサーを挿入できません。
なぜなら入れ込んだとしても抜けてきてしまうからです。
隙間が確保されていれば、塗装後も水がはけるので縁切りの作業は不要です。
ただ、ご自宅の屋根が反っている状態なのかどうかは、屋根の状態を調査してみないと分かりません。
ドローンや高所カメラを使って確認してもらいましょう。
タスペーサーの単価相場
タスペーサーによる縁切りの単価相場は300~600円/㎡です。
30坪80㎡の屋根の場合は約24,000~48,000円ということになります。
従来の塗膜カッターでの縁切りは作業時間がかかったため単価相場は600~800円/㎡(30坪80㎡の屋根で48,000~64,000円)程でした。
したがって従来の縁切り作業よりもお得に工事が行うことができます。
タスペーサーの正しい施工方法
タスペーサーの正しい施工方法についてご説明します。
正しい施工方法で挿入しないと、不具合に繋がってしまいます。
知識がない業者や手抜きをする業者に騙されないためにも、正しい施工方法を把握しておきましょう。
取り付け方
取り付け方は、屋根の幅によっても変わります。
ご自宅に取り付けてもらう際は、カタログ通りの正しい方法で施工されるのか写真を撮ってもらってチェックしましょう。
60㎝幅のスレート屋根はどちらか片側から10~15㎝のところに一つ取り付けます。
▪幅が90㎝の屋根の場合=ダブル工法
90㎝幅のスレート屋根は両側から10~15㎝のところに一つずつ取り付けます。
取り付け後はタスペーサーは入れたまま外しません。
数年後、庭に落ちてきたなど外れるケースもありますが、タスペーサーが外れるほどの隙間があるということなので縁切り機能的に問題ありませんのでご安心ください。