雨漏りを放置したらどうなるのか?
雨漏りを放置したらどうなるのか?
毎年必ず複数の台風が上陸する国ですので、台風慣れしてしまっている方も多いです。
しかし、近年日本に上陸する台風は、一昔前とは比較にならないほど大型化しており、非常に甚大な被害をもたらせる台風が増えています。
実際に、2022年は、大型台風が日本に上陸し、九州地方や静岡県などで大きな被害が生じています。
台風は、大雨だけでなく、強風を伴う自然災害となりますので、台風が過ぎ去った後、一見大きな被害が生じていないように見えても、実は屋根材にズレやひび割れが生じてしまっていて、見えない場所で雨漏りが始まっているなんてケースが多いので注意が必要です。
ただ、雨漏りに関しては、天井から水が滴ってくる…など、日常生活に支障が出るような被害が生じていない場合、「生活には影響がないし、しばらく放置しても良いのかな」と対応を遅らせてしまう方が少なくありません。
当然、雨漏り修理を専門業者に依頼した場合、それなりに高額なコストがかかってしまうことになりますので、急な出費を嫌い工事を遅らせてしまう訳です。
それでは、このような「雨漏りをしばらく放置する」という行為は、問題ない事なのでしょうか?
答えから言っておきますが、雨漏りを見つけた際、早期に適切な対処をとらず、放置してしまった場合、家がめちゃくちゃになってしまう恐れがあるので絶対にオススメしません。
この記事では、雨漏りを放置してしまった場合に考えられる、残念な家の未来について解説していきます。
【目次】
❶何が原因で雨漏りが発生する?
それではまず、住宅で発生する雨漏りについて、何が原因となって雨漏りするのかについて解説していきます。
一般の方からすれば、「屋根に何らかの問題が生じたことで雨漏りしている!」といったイメージになりがちですが、住宅で発生する雨漏りは屋根からのみではなく、さまざまば原因が考えられるのです。
以下に、住宅で発生する雨漏りについて、主な原因をご紹介します。
❶-1屋根の破損や劣化
住宅の雨漏り原因では、やはり屋根の問題は外せません。
ただ、一口に「屋根からの雨漏り」といっても、その原因はさまざまです。
例えば、台風などの強風によって屋根材が飛ばされてしまう、棟板金が剥がれてしまう、飛来物で屋根に穴があくなど、明確な雨漏り原因が存在するケースもあります。
そして、これ以外にも、長年屋根のメンテナンスを怠っていたことで、漆喰が剥がれ落ちるなど、屋根の経年劣化により、雨水が侵入できるようになって雨漏りが始まるといった
ケースも考えられます。
経年劣化による雨漏りは、一般の方では気づけない場合も多いので、定期的に専門業者に点検してもらうのがオススメです。
❶-2外壁からの雨漏り
意外かもしれませんが、住宅で発生する雨漏りの多くは、外壁部分の劣化が原因となっています。
例えば、サイディング材で構成された住宅であれば、目地部分に施工されているコーキングなどの劣化が要因となり、雨水が侵入するようになるというものが大いに考えられます。
コーキングは、住宅の防水処理として各所に施工されるのですが、徐々に硬化していき、ひび割れや脱落が起きてしまいます。
当然、防水処理が劣化すると、水の侵入を防げないので、壁からの雨漏りが発生します。
ちなみに、壁には窓やドアが設置されていますが、サッシに生じる隙間に施工されるコーキングの劣化から、雨が降ると窓周辺が水浸しになる…といった雨漏りにも発展します。
❶-3ベランダ、屋上
近年では、狭小地に戸建てを建てるケースが多いため、庭の代わりに屋上を設置する家が多いです。
いわゆる陸屋根と呼ばれる構造を採用するのですが、陸屋根は、雨漏りリスクが高くなるので注意しましょう。
傾斜のある他の屋根形状と異なり、長く雨水が滞留してしまうので、ちょっとした防水処理の劣化で雨漏りが始まるなんてケースがあります。
他にも、ベランダやバルコニーは、雨の影響を受けやすい部分となるので、劣化が通常より早く、雨漏りに発展するケースが多いです。
このように、住宅の雨漏り原因は、さまざまな部位の劣化が考えられます。
なお、上記以外にも、雨樋の排水不良から屋根内に雨水が侵入するケースや、屋上・ベランダの笠木部分から水が浸入するなど、さまざまな雨漏り原因が考えられます。
「雨漏りは住宅の天敵」と解説されることも多いのですが、これは「雨漏りが家をダメにする」だけでなく、雨漏り発生個所が非常に多く存在することから、住宅トラブルの相談の中でも最も多い相談だからでしょう。
正直な話、どのような住宅でも、「住宅がある限りは雨漏りの可能性がある」と考えておかなければいけません。
❷雨漏りを放置したらどうなる?
ここまでの解説で分かるように、どのような住宅であっても、いつ雨漏りが発生してもおかしくないと考えておかなければいけません。
それでは、実際に雨漏りが発生した時、修理コストを嫌ってしばらく放置してしまうと、どのような被害が考えられるのかについても、実際に起きた事例を参考にご紹介いたします。
❷-1家が腐る
こう表現すると、「家が食べ物みたいに腐るわけないでしょ!」という声が聞こえてきそうですが、木造住宅が多い日本の家は雨に濡れたまま放置すると腐ります。
もちろん、湿気の多い国ですので、多少の水濡れで腐ってしまうような作りにはなっていません。
しかし、本来は屋根材や外壁材などの外装材で建物内部が大量の水に濡れてしまうようなことが無いようになっているのに、雨漏りで長時間水濡れにさらされるとなると、木材は腐ってしまうのです。
実際に、雨漏り被害で最も多い事例が、建物に使用されている木材が腐って朽ちてしまうという症状なのです。
雨水は、上述したように、あらゆる場所から家の中に侵入してしまう恐れがあります。
そして、日射が届かないような家の内側まで水が入り込んでしまうと、なかなかその水が乾くことなく、周辺がジメジメした高湿状態になってしまいます。
そうすると、木材腐朽菌が繁殖してしまい、どんどん家を腐食させてしまうのです。
「木材腐朽菌」はあまり耳にしたことが無い人も多いと思いますが、これは木材を腐らせる菌であり、木造住宅にとっては天敵のような存在です。
そしてこの菌は、湿度85%以上・木材の含水率25%以上などといった条件がそろった時に発生し、セルロースやリグニンなど、木材の成分を分解することで、木の強度を下げてしまう性質を持っています。
なお、水濡れが家にとって恐ろしいのは、こういった木材の腐食だけではありませんよ。
家を作る時には、鉄骨や鉄筋、釘など、多くの金属が使用されていますが、これも雨水などに長時間晒されると、サビによって強度が低下してしまいます。
そして、雨漏りによる水濡れが酷くなると、次のような家の存続にかかわるレベルの問題にまで発展してしまうのです。
- 天井が腐食して落ちる
- 柱の強度が低下して家が傾く
- 最終的に家が倒れる
家を構成する木材や金属の強度が低下してしまうと、当然家の安全性や耐震性能が低下してしまいます。
そのため、万全な状態であれば耐えられる程度の地震が発生した時などに、揺れに耐えられず家が傾いたり、倒壊してしまうリスクが高くなります。
ちなみに、雨漏り被害は、家の資産価値を大幅に下げてしまう点も注意しましょう。
まだ築浅と呼ばれるレベルの新しい家でも、雨漏り被害によって相場よりも500万円以上安くなるなんて話は珍しくありません。
雨漏りの放置は、家そのものの価値まで下げてしまう恐ろしいものです。
❷-2害獣・害虫の繁殖を招く
二つ目は、シロアリやダニ、ネズミなどの害虫・害獣被害の可能性が高まるという点です。
皆さんも、シロアリが家の天敵であるということはご存知だと思います。
それでは、シロアリは、どういった場所で繁殖すると思いますか?通常のアリであれば、そこら中で見かけますが街中でシロアリを見かけるようなことはありません。
実は、シロアリというのは、湿気の高い場所を好むという習性をもっており、雨漏りなどで湿った木材というのは、シロアリにとって食べやすいことから、雨漏りが発生していて、高湿状態の家はシロアリを呼び寄せてしまう恐れがあるのです。
ちなみに、シロアリが家にとって天敵なのは、木材を食べられてしまい、家の強度が落ちるからと考えている方が多いです。
しかし、シロアリは、雑食性の生き物で、木材だけでなく、断熱材や電気線までかじられて、家の性能そのものが落ちてしまうといった被害の可能性まであるのです。
新築住宅なら、防蟻処理がなされているから安心と考える人も多いと思うのですが、その考えは間違いです。
防蟻処理は、約5年程度で効果が切れてしまいますので、定期的に防蟻処理を行っていなければ、シロアリを防ぐことなどできません。
更に、高湿状態は、ネズミにとっても好ましい状況ですので、雨漏りなどで湿気が高い状態が維持されている場合、屋根裏や床下でネズミが繁殖してしまう恐れがあります。
ネズミの繁殖は、糞害や断熱材をかじられて断熱性が落ちてしまう他、人間にとって有害な寄生虫や菌を家に持ち込まれてしまう恐れがあります。
❷-3カビの繁殖、最悪の場合、健康被害も
雨漏りによって高湿状態が保たれてしまうと、カビによる被害が生じるという点も大きな問題です。
高温多湿な気候の日本は、もともとカビが大繁殖してしまいやすいというのは皆さんもご存知でしょう。
ただし、雨漏りによって長時間家が水濡れしてしまうという状況は、皆さんが考えている以上の速度でカビの繁殖を招いてしまう恐れがあります。
というのも、カビは木材、接着剤、塗料など家に使用されている材料や空気中の汚れをエサとしますので、雨漏りを放置して高湿状態が保たれているというのは、カビの繁殖に非常に適した状況を作っているのと同じことだからです。
実際に、雨漏りの発見が遅れてしまった時には、天井裏がカビだらけになり、カビ臭さで雨漏りに気付くなんてことも少なくないのです。
こういったカビの問題については、家が不衛生に見えるとか、カビの嫌な匂いが残るなどといった簡単な問題ではありませんよ。
雨漏りによってカビが大量発生してしまった時には、家だけの問題ではなく、そこに住んでいる人間の健康被害を引き起こしてしまうリスクまで生じるのです。
カビが大量発生した時には、空気中にカビの胞子が含まれることになるので、それを吸った人にアレルギー症状が出てしまうことがあります。
他にも、カビの臭いでストレスを感じてしまったり、喘息などの症状が出てしまう方もいます。
このように、雨漏りの放置は、そこに住む人の健康にまで悪影響を与えてしまうような非常に深刻な問題を引き起こします。
❷-4漏電による住宅火災リスクも
上述しているように、雨漏りは屋根や外壁の中に水が侵入してしまい、家そのものの劣化を急速に進行させてしまう非常に厄介なものです。
そして、雨水が侵入する屋根裏や壁の中には、多くの電気線が配線されているということを忘れてはいけません。
もちろん、住宅内に通されている電気配線は、電気が漏れないように『絶縁』という処置が施されています。
しかし、この絶縁処理も、経年劣化などで不備が生じてしまうことがあり、そこに雨漏りによる水が浸入することで漏電が起きてしまうのです。
漏電が発生した時には、ブレーカーが漏電に反応してしまうことで一時的な停電が頻発してしまったり、電気代が高くなってしまうなどといった問題が生じます。
ただ、こういった問題はまだまだ序の口で、漏電は最悪の場合、住宅内での感電事故や、住宅火災などといった悲惨な結果を招いてしまう恐れまでありますので注意してください。
雨漏りは、日常生活にそこまで支障が無い場所で起きた場合、「修理費がかかるししばらく放置しよう」などと考えてしまうかもしれませんが、その考えが最悪の事態を引き起こしてしまう恐れがあると考えておきましょう。
❸まとめ
今回は、雨漏り被害にあった時、早急な対処を行わず、しばらく雨漏りを放置した場合に考えられる二次被害について、実例を踏まえて解説してきました。
この記事でもご紹介したように、どのような住宅であっても、あらゆる場所に雨漏り原因となりうる箇所が存在していて、いつ何時、どのような理由で雨漏りが発生してもおかしくないと考えなければいけません。
特に、日本は、地震や台風などの自然災害が多く、こういった自然災害時には思わぬダメージが住宅に生じてしまい、知らないうちに雨漏りが始まっていた…なんてケースも少なくないのです。
皆さんに覚えておいてほしいのは、雨漏り被害を最小限に抑え、最も低コストで対処するには、出来るだけ早く専門業者に連絡し、雨漏り修理を行ってもらうことが最良だということです。
住宅で一度雨漏りが発生した場合、放置していても自然に雨漏りが解消されるようなことは絶対にありません。
そして、雨漏りの放置は、住宅そのもののダメージを拡大していってしまい、最悪の場合、住む人の命にかかわるような問題にまで発展してしまう恐れがあるのです。
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